会見で上田は「SHOCK本編の魅力をギュッと詰めて、なおかつ新しい試みをしています。過去の自分と今の自分、その表現の切り替えがすごく難しかった」と振り返り、前田は「今回、自分の役についてたくさんの肉付けが出来た。またいつものSHOCKに戻った時に、もっと役が膨らむのでは。すごい経験をさせていただきました」と自信の笑みを見せた。梅田は、「リカの気持ちを原稿用紙5枚に書いてきて」という光一の悪戯っぽい依頼に対し、本当に詳細な胸の内を綴ったという。

「リカはコウイチさんが亡くなった後、どんな感じで過ごしていたんだろう……と思っていたので、今回の舞台で、あ、こんなふうに思っていたんだなって答え合わせが出来た気がします」(梅田)

 舞台の大きな見どころであるコウイチの“階段落ち”や、怒声飛び交う熾烈な戦闘シーンの実演はなく、舞台前面に下ろされた紗幕や舞台後方のホリゾントにそれらのシーン映像が流された。大階段の上に立つタツヤの目線から見たコウイチの表情など、これまでにない新鮮な光景が映し出されて興味をそそる。荒々しい立ち回りシーンを映すと同時に、ステージでは俳優陣がストップモーションやスローモーションで戦闘イメージを表すなど、緩急を重ねて見せる演出も効いていた。

「大人数がかなりの至近距離で斬り合う戦いのシーンは、やっぱりリスキー。リアルな出来事ではなく誰かの記憶の中という表現なので、映像を使ってリスクを回避しました。ただ一対一での殺陣は、いつも通りのスピードで表現しています」(光一)

 その言葉通り、コウイチとタツヤの対決シーンは、本編に劣らぬ緊迫のぶつかり合いに息をのんだ。太鼓の競演も変わらぬ迫力で興奮をあおる。さらに嬉しい驚きは、当初はやらない予定だったコウイチのフライングの登場だ。客席上空を飛ばなければ可能であることがわかり、真紅のリボンを腕に巻きつけて飛ぶリボンフライング、傘を掲げて回り舞うフライングをステージ上空で披露。やはり“SHOCKといえばフライング”。制限のある中でこれを観客に届けられたことは、カンパニーにとっても大きな喜びに違いない。

次のページ