硬いウロコを持つクロダイ
硬いウロコを持つクロダイ
身を守るためウロコが進化したハリセンボン
身を守るためウロコが進化したハリセンボン
ウロコの代わりに粘膜で覆われたアンコウ
ウロコの代わりに粘膜で覆われたアンコウ
皮を炙った「絆真鯛塩〆炙り」
皮を炙った「絆真鯛塩〆炙り」

 皆さんは自分で魚をさばいたことはありますか? 筆者は時々、釣った魚や知り合いの方からいただいた魚を自分でさばくことがあるんですが、その際に結構厄介なのがウロコの処理なんです。

【写真】身を守るためウロコが進化したハリセンボン

 というのも、筆者はマンション住まいですので、キッチンでウロコを取ると、かなり気をつけたつもりでもかなりの広範囲にウロコが飛び散っていて、翌日「こんなところまで…」と驚くようなところでウロコが発見されたりします。

 個人的には、特にグレ(メジナ)やハネ(スズキ)、チヌ(クロダイ)のウロコが取りにくく、遠くまで飛び散るような気がします。逆に、サバやイワシなどはあまりウロコが飛び散るのを意識することなく調理していたように思います。

 というのも、サバやイワシのウロコは非常に取れやすく、調理するまでに、クーラーボックスの中などで、ほとんどが剥がれ落ちてしまっていることが多いようです。

 また、アンコウやナマズ、ドジョウなど一部の魚にはウロコがないものもいますが、それらの魚はウロコの代わりに、ヌルヌルした粘膜で体表が覆われています。

 ウナギは一見するとウロコがないように見えますが、実は皮膚の中に非常に細かいウロコが埋まっているんです。またサメにもウロコがないように見えますが、楯鱗(じゅんりん)という他の魚とは違うウロコで体表が覆われています。サメ肌と言われる、ワサビをおろすのにも使われるあのザラザラした皮膚は、楯鱗がびっしりと集まったものです。

 我々が魚をさばく時には「ない方がいいのに…」と思うウロコですが、もちろん魚たちにとってはなくてはならない、非常に重要なものです。

 ウロコの役割としては、主に以下の3点があげられます。

 一つ目は、外敵や寄生虫などから身を守るため。海の中は、非常に厳しい弱肉強食の世界。外敵に襲われた際に少しでもダメージを少なくするために、硬いウロコをまとっているんです。

 ハリセンボンの体表を覆う無数の針も、ウロコが変化したものです。まさに外敵から身を守るために進化した形と言えるのではないでしょうか。

 二つ目は、海の塩分から身を守るため。海の中にいる魚は、ウロコがないと体内と海水の塩分濃度の違いから、浸透圧によって体液が海中に出ていってしまい、脱水状況になって死んでしまいます。逆に淡水の魚は、体内に水分をどんどん吸収してしまい、水ぶくれ状態になってしまうそうです。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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羽毛や体毛も、元はウロコが進化したもの