──一方で、安倍政権の負の遺産はたくさんあります。

 安倍政権下では公文書の改ざんや国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽、統計不正など様々な疑惑や不祥事がありました。この種の不祥事は政治行政に対する不信感を高めます。ただこうした状況は、民主主義の国でもスポイルした(腐った)政府ではそれなりの頻度で起きることです。官僚機構にせよ、自民党の派閥にせよ、弱体化して緊張関係がそがれていることも関係します。

 しかしこれをもって「独裁国家だ」と批判してみても大した意味はありません。それを防ぐためのガバナンス上の工夫をきちんと用意することが重要ですが、安倍政権を継承するという菅首相にはできないかもしれません。官房長官として当事者とも言える立場だったのですから。

(聞き手/編集部・小田健司)

AERA 2020年9月28日号