中村喜四郎(なかむら・きしろう)/1949年生まれ。27歳で初当選し、建設相などを歴任。ゼネコン汚職事件で逮捕・失職も2005年に国政復帰。当選14回、衆院茨城7区(撮影/本田雅和)
中村喜四郎(なかむら・きしろう)/1949年生まれ。27歳で初当選し、建設相などを歴任。ゼネコン汚職事件で逮捕・失職も2005年に国政復帰。当選14回、衆院茨城7区(撮影/本田雅和)
9月10日、枝野幸男氏は合流新党の立憲民主党の代表に選ばれた。次の衆院選で勢力を拡大できるか、手腕が問われる (c)朝日新聞社
9月10日、枝野幸男氏は合流新党の立憲民主党の代表に選ばれた。次の衆院選で勢力を拡大できるか、手腕が問われる (c)朝日新聞社

 枝野幸男氏(56)を代表とする新生立憲民主党が、9月15日に誕生。149人を擁する野党第一党となる。与党と議席数を競り合う「与野党伯仲」の状況も見えてくる。AERA 2020年9月21日号では、この新党に参加した中村喜四郎氏(71)にインタビュー。かつて建設相などを務め「将来の首相候補」とも言われた中村氏に、新党の展望などを聞いた。

【写真】合流新党の立憲民主党の代表に選ばれた枝野幸男氏

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──「与野党伯仲」とはどういう状態なのか。安倍政権の「1強」国会しか知らない若い人にはピンと来ません。

 伯仲になったら公文書の秘匿や偽造なんてできませんよ。河井前法相夫妻の1億5千万円の選挙資金の問題だって封印できない。特定秘密保護法、共謀罪、集団的自衛権の解釈など、「1強」なら突破できた問題がすべて審議、調査のテーブルに載り、自浄能力が動き出す。伯仲状態だったら、自民党は間違いなく石破茂さんを出した。そうでなければ、選挙を乗り切れない。菅さんのまま行くというのは、国民の疑惑の目なんて気にすることはないという判断です。

 やはり(与野党議席差は)「50」ですね。委員長だって野党が4割くらいとりますよ。政権交代の可能性が出てくれば、役人だって「忖度」の必要性はなくなるでしょう。

──「安倍政権は国政選挙6連勝だった」と言われますが、その実態は「棄権に救われた」との指摘がある。昨年の参院選も、比例区の票を200万票以上減らしています。

 投票率低下が安倍政権の最大の勝因です。国民を無視しても選挙に勝てるという構造を作り上げ、「諦めさせる政治」作りに成功した。最近、団塊の世代ジュニア(45~49歳)より若い人たちが人口全体の半分を超えたそうですね。この世代にとって、就職氷河期、少子高齢化、この国は将来不安ばかりが残る。投票に行く人は与党に入れ、あとは冷ややかに棄権する。

──そういう人たちの視線を政治に引き戻すために、野党は何ができますか。

 本気になって闘うしかない。この国の野党は、若い人たちに本気だと思われていない。一か八か。生きるか死ぬか。選挙に対する執念燃やして、与党に向かう。そこが有権者に通じれば「保革伯仲」が実現し、国会が変わる。国民が自分たちの考えを実現するには保革伯仲の緊張感が必要。それが政権交代につながる重要なプロセスだ。

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