最大震度7を観測した熊本地震。熊本・大分両県で住宅被害は20万棟以上。避難所に間仕切りがつくられたが、大勢が一つの空間で生活した (c)朝日新聞社
最大震度7を観測した熊本地震。熊本・大分両県で住宅被害は20万棟以上。避難所に間仕切りがつくられたが、大勢が一つの空間で生活した (c)朝日新聞社
家庭でできる15の防災対策【1】(AERA 2020年4月27日号より)
家庭でできる15の防災対策【1】(AERA 2020年4月27日号より)
家庭でできる15の防災対策【2】(AERA 2020年4月27日号より)
家庭でできる15の防災対策【2】(AERA 2020年4月27日号より)

 新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、大地震などの災害が重なったら……。AERA2020年4月27日号は、そんな「もしも」のために家庭でできる備えを紹介する。

【災害に備えて 家庭でできる15の防災対策はこちら】

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防災・危機管理アドバイザーで「防災システム研究所」(東京)の山村武彦所長は、災害時は避難所に頼らない「在宅避難」を勧める。

「避難所は家を失った人や二次災害の恐れがある人が暮らす場所。家での生活が可能なら、自宅にとどまる在宅避難を第一にすべきです。そうすることで、感染症や災害関連死のリスクも減らすことができます」

 そのために必要なのが備蓄だ。しかし、ただむやみに備えればいいというものではない。

総合防災コンサルタント事業を行う「防災クリエイティブマネージメント」(大阪府大阪狭山市)の防災アドバイザー・岡本裕紀子さんが、提唱するのは「家庭でできる防災自己診断15」だ。

 岡本さんは、災害への備えは(1)命を守るために必要(2)被災直後から必要──まずこの二つの視点から考えてほしいと話す。

「例えば、水はどのような状況でも生きるために必須。1人1日3リットルの水を最低でも3日分備えてほしい。ただ、災害が広範囲に及べば救援の遅れもあり得るので、1週間分備蓄するのが望ましい」

 次に大事なのが食べ物だ。岡本さんは「食料は1週間分の備蓄を」という。その際、栄養不足を補う備えもしておきたい。管理栄養士で、一般社団法人「NS Labo(栄養サポート研究所)」代表理事の岡田明子さんは、災害時は偏った栄養状態になりがちだと注意を促す。

「備えておこうと思ったら、米や麺類といった炭水化物を買いそろえる人が多くいます。炭水化物はエネルギーの源になる栄養素で必要ですが、取り過ぎが続くと肥満の原因になります。また、糖質をエネルギーに変える際にはビタミンB1が必要なので、お菓子など甘いものを取り過ぎるとビタミンB1不足になり、疲れやダルさなど、疲労感につながります」

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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