「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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政府が緊急事態宣言を出して約2週間が経ちました。物流を不安視して買いだめに走る方々もいらっしゃいました。これは日本だけではなく、世界中で起きています。スーパーでの長蛇の列を見ると、「三つの密」そのものになっているのではと心配になりました。
今は外出はほとんどできず、友人にも会えない。道を歩いても、この手すりにウイルスが付いているかも、と考えてしまう。この2カ月ほど、生活自体が不安定です。
そんな非常時において、「物を買う」ことが安心の「処方」になっていると感じています。買い物でストレスを軽減し、ほっとできるのかもしれません。
今回の新型コロナウイルスでは、世界を見てもスーパーやコンビニの物流はしっかり動いています。もちろんマスクや消毒液など足りないものはありますが、食料品はきちんと入荷します。日本も同じです。
そんな中でローソンの使われ方も変わってきています。遠くまで買い出しに行くよりは、毎日の必要なものは近くのローソンでササッと買いたいというお声を頂いています。
そんなお声に応えるべく、ローソンでは牛乳やたまご、納豆、豆腐、食パン、冷凍食品などの品ぞろえ強化をしています。
全国のコンビニの従業員は60万人を超えています。当社も含めて感染された方も出ています。お客様や現場に立ち続ける方の安全性を高める必要があります。
店舗には、レジカウンターに透明のビニールシートの設置を推奨。他にも、入り口ドアを定期的に開放し、レジでお待ち頂く立ち位置を床に表示して「密」を避け、お客様用のアルコールスプレーを設置しています。
加盟店のみなさんへの感謝を忘れず、共にライフラインとしてのコンビニの責任を果たしていきたいと思います。
※AERA 2020年4月27日号