最近、世間でよく聞かれる「自己肯定感」という言葉。子育てをしている世代はとくに気になる言葉です。今なぜ「自己肯定感」が注目されているのか? どうやって高めればいいのか、3児の母であるくわばたりえさんが、専門家に直撃しました。

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「目標を達成する、能力を発揮する、そして良好なコミュニケーションをとるためにも、自己肯定感が大切だといわれています。それだけではなく、新しいことや難しいことをチャレンジするためにも自己肯定感は欠かせません」

 こう語るのは、行動科学や認知心理学をベースに、これまで1万人以上の行動実践データを検証・分析してきた永谷研一さんです。

 最近では、学力との関連性も明らかになりつつあり、子どものあらゆる面にプラスの影響を及ぼす「自己肯定感」。

 わが子にはぜひ身に付けてほしい、と思いますが、ともすると親の思いが空回りすることも。そこで、くわばたりえさんが、素朴な疑問を永谷さんに投げかけました。

くわばた:「自己肯定感」って最近よう耳にするんですよ。やっぱり大事なんかな?って。そもそも、何をしたら自己肯定感ってアップするんですか?

永谷:いちばん簡単な方法としては、自分ができたことを見つけることでしょうね。できればそれを記録するといい。自分ができていることを見ることで根拠のない自信が生まれます。

くわばた:根拠のない自信って大事?

永谷:根拠のない自信って「自分はできる!」と信じる力なんですよね。これがあると自分自身を好きになれるし、自己肯定感の源になります。自己肯定感がつくと自分でやってみよう、難しいことにもチャレンジしてみよう、と思えるんです。この力さえあればどんなことがあっても生き抜けると思いませんか?

くわばた:それはそうや。でも1日を振り返ると、反省点ばかり出てきません? 書くのは、「反省点」じゃなくて「できたこと」なんですよね?

永谷:どうして「できたこと」を書くのが大事かというと、そもそも人間は放っておくと、マイナス面に目がいってしまうものなんです。それは子どもに対しても同じ。「~していない」「~できていない」とダメな部分ばかり指摘していませんか?

くわばた:それはあるある。叱ってしまった後で、子どもだって日々成長しているのになーって反省したりして。

永谷:マイナス面ばかり指摘されると、子ども自身も自分のダメな部分にばかり注目するようになります。これでは自己肯定感は育ちようがありありません。

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AERA編集部
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