大分県の県立高校の修学旅行はほぼJTBが独占していた。競争のない契約は、生徒側に不利益をもたらす可能性が高い(撮影/写真部・張溢文)
大分県の県立高校の修学旅行はほぼJTBが独占していた。競争のない契約は、生徒側に不利益をもたらす可能性が高い(撮影/写真部・張溢文)
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 高額化する修学旅行の背景には、学校側にもいくつかの原因がありそうだ。複数の業者から見積もりを取らない、特定の会社が独占状態にあることが明らかになった。AERA2020年2月24日号から。

【表】衝撃…こんなにも進んでいた修学旅行”高額化”はこちら

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 1月下旬、都内である旅行会社元社員が取材に応じた。

「修学旅行は、業者にとってやっぱり儲かるんですよ。年度末に格安ツアーなんかで赤字を出しても、トータルで黒字にしてくれる大切な仕事で、“浮袋”なんて言われてました。沈みそうな収支を浮き上がらせる、という意味です」

 修学旅行が高すぎる──。昨年11月、アエラは修学旅行高額化に関する記事を掲載。高校生が海外に行った場合、1人あたりの平均額は公立が約14万円、私立で約25万円に及ぶ(2017年度)と報じ、反響を得た。

 修学旅行が割高に見えるのは、格安ツアーと比較するからか。別の旅行会社関係者は、「すべてオーダーメイドの旅行」であることで高くなるとも説明する。交通費や宿泊費だけでなく、現地での体験学習費や貸し切りのバス代など、すべての経費が盛り込まれているからだ。

 だが、安くならない別の事情もあるようだ。冒頭の旅行会社元社員の体験によると、学校ごとに業者の“縄張り”が決まっているケースが多く、特に私立でその傾向が顕著だったという。別の元社員も、「学校側にアリバイとして見積もりを求められても、食い込んでいない学校ではそれほど力が入るわけではありません」と語る。

 仮にそんな状況が続けば、競争原理は働かず、修学旅行は一層、“浮袋”化することになる。

 修学旅行の旅行会社決定プロセスに関する問題が次々と明らかになっている。兵庫県尼崎市では、地元議員の指摘で問題が発覚した。市教育委員会学校教育課によると、13年から15年までの3年間で、ほとんどの小学校で複数の見積もりを取らずに、旅行会社と随意契約を交わしていた。13年は43校のうち42校、14年は42校のうち41校、15年は42校のうち38校がそうした状態だったという。3年間を通じて業者を変えずに随契を結んでいた学校も38校あった。

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