ただし、血圧を上げるためには高血圧対策と逆のことをすればいいのかというと、そうではない。たとえば、ストレスは血圧を上昇させるが、低血圧の人には逆に作用することもある。

「人間は弱い部分がダメージを受ける。血圧が高くなりがちな人はさらに高く、低血圧気味の人はさらに低くなってしまうのです」(久手堅医師)

 背は高血圧にも低血圧にもよくないという。猫背になってスマホやパソコン作業をすると首や肩がこるだけでなく、背骨のS字カーブがゆがみ、脊髄の中にある自律神経を乱してしまうのだ。

 低血圧は何らかの病気が背景にあることもあるが、ほとんどの場合は原因がはっきりしない。遺伝的な素因や体質に加え、自律神経も深くかかわるため、これを整えることが大切だ。規則正しい生活、適度な運動、バランスのよい食生活の重要さは、高血圧も低血圧も変わらない。(編集部・小長光哲郎、ライター・谷わこ)

AERA 2019年12月23日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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