●生活リズムが崩れた1歳6カ月のAちゃんの実例

 保育所でAちゃんのお母さんが寝不足で疲れた顔で相談してきました。「先生、最近夜中に起きて遊びだすんです。昨日は2時間遊んで大変でした」と。仕事があるのに寝不足だと本当に大変です。Aちゃんも寝不足のため、ここ数日とても不機嫌。食欲もなく、昼寝からも起きにくい。生活リズムが崩れていることが目に見えてわかりました。1歳半になった子が、夜中に2時間も起き続けることが気になったので、夜中に起きたときの状況を聞きました。

・起きたら「ジュース」というのでリンゴジュースを与える
・その後、ぐずるのでスマホで動画を見せる

 それを聞いて私は「お母さん、それは完全に覚醒させてしまっていますよ」と言いました。

・のどが乾いたら、ジュースではなく湯冷ましを与える
・ぐずっても、布団に入って親も寝る

 この2つを助言し、実践してもらいました。すると、翌朝お母さんがすっきりした顔で「先生に言われた2つをしただけで、すぐに寝てくれました!」と報告してくれました。お母さんはもちろん、Aちゃんのために良かれと思ってしていました。でも、おなかに甘いものを入れ、スマホの光を浴びたら、身体は起きてしまいます。リズムが崩れそうになった時は、特別なことはしなくてOK。寝る時間は起きてしまっても、もう一度寝るものなんだということを、赤ちゃんに行動で伝えるのは親の役目です。

 生活リズムを整えると何がいいかというと、親が時間を作りやすくなります。10時から11時の間寝ているから、洗濯をしようとか。ティータイムにしようとか。昼と夜ごはんの仕込みをしようとか。段取りよくできるようになるので、気持ちにも時間にも余裕が生まれます。保育所のようにきっちりとした時間で動くことは、きっと難しいとは思いますが、毎日だいたい同じ時間を意識しながら、生活リズムを整えてみてください。(文/中田馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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