私は先月、1年半支援してきた成果を報告する研究発表会に参加してきた。この研究発表会は、自分が三宅小学校に支援してきた内容が評価される場でもあるので、我が事も同然。気が気ではない。

 私はこの1年半、先生方が主体的に、そして楽しみながら研究に取り組めるように意識してきた。なぜなら、小学校のプログラミング教育は新しい領域であり、過去の実践がないゼロベースからの研究なので、まずは先生方が楽しめる環境づくりが大切だと感じたからだ。

 もう一点、意識したのは「島」ならではの生活に基づいた研究にすることだ。訪問を重ねるごとに、先生方が意欲的に取り組む姿を感じられたし、島の生活が教材に盛り込まれていく様子を強く感じられるようになったのは嬉しいことだった。

 とはいえ、開校以来、初めての研究発表会だ。不安半分、期待半分の参加である。

 研究発表会当日は三つの公開授業と、先生方による教材体験のワークショップ、研究の報告が行われた。公開授業は、保護者や島民の方々も参観されている。離島ならではの特徴は、村の教育委員会の方々が多く来られていることだ。三宅管内のもう一つの離島、御蔵島の小学校からも校長先生はじめ研究担当の先生が参加されていた。御蔵島は断崖絶壁の多い島なので、何とヘリコプターでの出張である。とはいえ、フライト時間は15分だそうだ。

 まずは、1年生の授業、プログラミングを直接体験し学ぶ「レッツ プログラミング」を参観した。スクラッチJRというアプリを使用し、ディスプレイ内のキャラクターを、自分の意図した動き(ダンス)にすることが狙いだ。

 1年生がタブレット画面を自在にあやつりながら説明する姿に、日ごろから一人一台端末を使用して、使い慣れている感が伝わってくる。

 続いて、5年生の算数「平均」の授業。子どもたちの知的好奇心をくすぐる「オリジナルの計算機を作ろう」がテーマだ。

 子どもたちが身近な課題に着目し、プログラミングを使ったオリジナルの計算機で解決しようとする指導計画だ。子どもたちのノートを覗くと「三宅は人口が少ないですが、警察官が多いので、転出入が多く、クラスの人数がよく変わります。学年の平均人数がすぐにわかれば委員会活動もやりやすいです」と書かれている。

 三宅島の警察官の転勤事情から来る頻繁な転出入の現状を把握した課題設定である。また、子どもたちのタブレット活用にも目を見張った。タブレットのローマ字入力を両手を使って自在に変換しているのだ。

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