ボリュームたっぷり、活〆アナゴのお寿司
ボリュームたっぷり、活〆アナゴのお寿司
甘だれとの相性が抜群、天然アナゴのお寿司
甘だれとの相性が抜群、天然アナゴのお寿司

 近年うなぎの値段が高騰して、日頃の食卓にのぼることが少なくなってきましたよね。最近では、ナマズなどで代替する試みも始まっていますが、今回はうなぎに似た「アナゴ」について紹介します。

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 江戸時代には、「漁師は、アナゴを炙ってうなぎと偽って売っている」と言われていたこともあるそうなので、調理の仕方次第では、うなぎの代替品としての可能性もあるかもしれませんね。

 ところで皆さんは、うなぎとアナゴの違いを具体的に説明できるでしょうか。

 どちらもウナギ目に属する魚ですので、細長くにょろにょろした形状ですが、体色や表面の模様が違います。うなぎが黒っぽい灰色であるのに対して、アナゴは茶褐色で体側に白い斑点が並んでいます。うなぎは海で産卵、孵化した後、川や池などの淡水域で成長するのに対し、アナゴは海の中だけに生息する海水魚です。

 味はどうでしょう。どちらも甘ダレとの相性がよく、かば焼きにするととても美味しいですよね。うなぎが脂が乗っていてこってりとしているのに対して、アナゴはかば焼きにしてもどちらかというとあっさりしています。

 実際、カロリーもうなぎはアナゴの2倍近くあります。美肌効果が期待できると言われるビタミンAについても、うなぎにはアナゴの約5倍も含まれています。他のビタミン類の含有量もうなぎの方が多く、万葉集の時代から夏バテ対策などのためにうなぎを食べる習慣がありました。

 ですが、実はアナゴにも100グラムで1日分の必要量を摂取できる量のビタミンAが含まれているんです。うなぎには及ばなくても、栄養たっぷりの魚です。

 アナゴが食卓に上るようになったのは、江戸時代中期と言われています。当時は江戸前(江戸の前の海、現在の羽田あたり)でよく捕れたようですが、「味はうなぎに似ているが、うなぎには及ばない」といわれ、うなぎに比べるとあまり人気がありませんでした。

 それが江戸時代後期になると、逆にさっぱりしていて食べやすいと徐々に人気が高まってきたんです。また、脂質が少ないことから、天ぷらにしても美味しく、江戸の人々の人気の魚となり、今でも江戸前寿司の代表的なネタのひとつとなっています。

 うなぎと同程度のたんぱく質を含みながら、脂質はうなぎの半分以下、そしてビタミンAもたっぷり含まれているアナゴは、それ自体で十分に魅力的な魚ですので、うなぎの代替とは言わず、アナゴとしてぜひ食べていただきたいと思います。

 一般的には6月から8月末頃までが旬と言われていますが、最近では年中美味しく食べることができます。

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◯岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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