今年初めて水揚げされた秋サンマ。不漁で地元イベントでも生のサンマを提供できず、冷凍サンマを使う異常事態に/8月27日、岩手県大船渡市 (c)朝日新聞社
今年初めて水揚げされた秋サンマ。不漁で地元イベントでも生のサンマを提供できず、冷凍サンマを使う異常事態に/8月27日、岩手県大船渡市 (c)朝日新聞社
直近10年、多くの魚が減り続けている(AERA 2019年9月30日号より)
直近10年、多くの魚が減り続けている(AERA 2019年9月30日号より)

 秋の味覚、サンマが不漁だ。マグロも捕れない。刺身、塩焼き、煮付け、寿司……日常的に食べる魚が激減している。日本の食卓に欠かせない魚たちに何が起きているのか。「魚の危機」が、すぐそこに迫っている。AERA 2019年9月30日号に掲載された記事を紹介する。

【図表で見る】直近10年でどんな魚が減っている?

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 サンマが捕れない。9月8日に東京・目黒駅東口で行われた「第24回 目黒のさんま祭り」。例年、岩手・宮古漁港で水揚げされた旬のサンマが無料で振る舞われるが、今年は不漁のため冷凍サンマを使った。

 宮城・気仙沼では水揚げ量が昨年比8分の1と激減。都内のスーパーで1尾200~300円の値がついている。旬の時期は1尾100円前後だったはずなのに。

 考えてみるとサンマだけじゃない。正月には「マグロ不漁」、夏には「ウナギ不足」が報じられた。もしや、日本の食卓に欠かせないお魚たちに何か異変が起きているのではないか。

 チャートは、水産庁が公表したここ10年間の魚の「資源量」をまとめたものだ。資源量とは、魚を石油や天然ガスのような“地球の資源(魚や貝、海藻など海から捕れる物=水産資源)”と考え、それぞれの魚が、ある時点でどれくらい現存しているかを推測した数値。水産庁は日本の食卓に登場する魚(50魚種84系群)について、それぞれ過去数十年分の資源量の変化から「高位」「中位」「低位」という表記で毎年発表している。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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