武蔵野大中高は今年、中学を共学化。説明会を開くと1千人が集まる人気校になった。人気の理由の一つが、マサチューセッツ工科大学(MIT)などで行う「アントレプレナーシップ海外研修」。一流の起業家たちの講演を聞いたり、グループで課題を設けてワークショップを行ったりする。最終日には起業家やMITの学生たちの前でプレゼン。夏休みに行われ、今年は中3から高3までの30人が参加した。日野田校長は言う。

「講演に来てもらった起業家は、本気で世界を変えてやろうという人たち。語学力が問題ではなく、言葉はわからなくてもそのパッションは通じる」

 生徒はこのプログラムに刺激を受けて、帰国後は自ら英語を勉強するようになる。今年の4月からは英語と国語をコラボした「言語」の授業も始まった。英語科と国語科の教員がチームを作って、教材作りや授業の内容を考えるという。

 公立中高一貫校にも新しい動きが広がっている。さいたま市立大宮国際中等教育学校は、国際バカロレア(IB)の11~16歳を対象とする中等教育プログラム(MYP)候補校で、認定されれば首都圏の公立中高一貫校としては、初めてのIB校となる。20年の認定を目指す。

 同校では、道徳と学活以外はすべて2時間続きで授業を行い、授業には必ず生徒の活動が盛り込まれている。教科の枠にとらわれない授業も多く、週に1度、各教科の教員が集まって授業の方針を話し合っている。

 独自の探究学習が3Gプロジェクトだ。今年の春から取り組んだのが「部活作り」。グループごとに候補を決めてポスター発表会を行い、投票で絞られた部活を生徒全員が体験、再投票で実際に活動をする部活を決定するという、生徒主体のプログラムだ。また、MYPカリキュラムの一つ、サービス・アズ・アクションでは、公的機関や企業、NPOなどから提供されたボランティアのプログラムを、生徒が自分たちで役割分担し、実施した。

 IB校は圧倒的に私立が多いが、関田晃校長は、公立に導入する意義をこう語る。

「IBは非常に優れた教育プログラムです。公立なら経済的な負担も少なく、多くの生徒にチャンスが広がります」

(ライター・柿崎明子)

AERA 2019年9月23日号より抜粋