2030年「ひきこもり長寿社会」到来で財政難か大量衰弱死か 精神科医・斎藤環が警鐘 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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2030年「ひきこもり長寿社会」到来で財政難か大量衰弱死か 精神科医・斎藤環が警鐘

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内閣府の初の実態調査で、約61万人と推計された中高年のひきこもり。斎藤さんは「ひきこもっている本人が高齢化する『ひきこもり長寿社会』が到来する」と指摘する(撮影/写真部・高野楓菜)

内閣府の初の実態調査で、約61万人と推計された中高年のひきこもり。斎藤さんは「ひきこもっている本人が高齢化する『ひきこもり長寿社会』が到来する」と指摘する(撮影/写真部・高野楓菜)

斎藤環(さいとう・たまき)/1961年生まれ。筑波大学教授。98年、『社会的ひきこもり』を上梓。「ひきこもり」診療の第一人者。いくつかの事件とひきこもりを結び付けかねない報道や世論に対して抗議している(写真:本人提供)

斎藤環(さいとう・たまき)/1961年生まれ。筑波大学教授。98年、『社会的ひきこもり』を上梓。「ひきこもり」診療の第一人者。いくつかの事件とひきこもりを結び付けかねない報道や世論に対して抗議している(写真:本人提供)

「ひきこもり」診療の第一人者、精神科医の斎藤環さんによると、全国のひきこもっている 人の推計は現時点で200万人以上、20年後には1千万人を超えるという。 

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*  *  *
 ひきこもりを日本独特の問題と考える人がいるかもしれませんが、背景にあるのは「家族主義」です。ひきこもりが多いのは、日本や韓国、最近では中国、ヨーロッパではイタリアやフランスです。5カ国とも家族主義で、子どもが社会参加できなかった場合、子を家に抱え込み、親が面倒を見続けてしまう。対して、アメリカやイギリスのような個人主義の国では、社会に参加できない者はホームレスになるしかありません。社会参加できない人の受け皿が家庭になるか路上になるかの違いです。

 内閣府のひきこもりの推計は全国で約115万人ですが、私はその倍の200万人以上いると確信しています。その半数が中高年ではないか。ひきこもっている人は、基本的にはつつましく暮らしており、「自立しないこと」を除けば切迫した危機感はありません。それがかえってあだとなっています。

 私は「2030年にひきこもり長寿社会が到来する」と警鐘を鳴らしてきました。あと10年もすれば、65歳以上の数万人のひきこもりが一斉に年金受給者になります。わが子を案じる親は子の年金保険料を払い続けていますから、その子たちが全員年金を請求すれば年金制度を圧迫するかもしれません。

 彼らは所得税は払ってこなかったでしょうから、なのに年金を受給するのかと世間からバッシングされる可能性があります。また、社会や役所に対し恐怖心を持つ彼らは、請求しないかもしれません。待っているのは、孤独死や衰弱死です。

「ひきこもり状態にある家族を誰が面倒を見るべきか」という質問をよく受けます。私は、両親であればそうしたいなら仕方ないと思いますが、きょうだいが背負う義務はないと主張しています。きょうだいが面倒を見ることは、自分の結婚や仕事、生活をすべて犠牲にしないと無理で、明らかに理不尽だからです。その時は福祉に委ねるべきです。


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