「ブランド淘汰は進むと見ているが、価格だけでない価値をより強化していくことで、長く愛されるブランドを目指したい」(サントリービール)

「単にコストパフォーマンスの高い、ビールに近い飲み物ではなく、それぞれの個性を磨き、お客様の飲用シーンになくてはならないものにしていきたい」(アサヒビール広報部)

「段階的増税は逆風となるが、一方で低価格志向の高まりも予想され、当面は新ジャンルでの提案が活性化して競争が激しくなると予測」(サッポロビール広報部)

 各社とも、逆風にも負けない個性的なブランドを育てる作戦のようだ。

 さて、おさらいが長くなったが、このあたりで渦中の第3のビールのテイスティングをやっている会場(編集部の片隅)に目を移そう。

 ルールの説明をすると、国産メーカーの第3のビール21種類に、「高級ビール」「ビール」「発泡酒」をそれぞれ1種類ずつ交ぜた24種類を、銘柄を隠してテイスティング。編集部まわりにいた部員や外部スタッフなど14人が◎、○、△、×の4段階で評価した。その結果を3点満点(◎=3点、○=2点、△=1点、×=0点)で集計し、平均得点でトップ10を決めた。

 まず意外だったのは、試しに交ぜてみた「高級ビール」「ビール」「発泡酒」が、思ったほど人気がなかったこと。第3のビールのトップ10に食い込めるだけの得点だったのは高級ビールだけだった。評価を読んでみると高級ビールを「臭い」と一蹴していたり、ビールを「トゲがある」とけなしていたりと、散々な言われようだ。

 ちなみに自分が書いた評価シートの答え合わせをしてみたら、ビールのところに「× 薄い」と書いてあったりする。やっぱり本物のビールはうまいよね~なんてしたり顔で語っていたけど、なんだ、けっこういい加減なんじゃん。

 というわけで、いよいよトップ10の発表だ。今回のテスターには、「毎日同じ銘柄の第3のビールを飲んでいる」という人もいて、飲み慣れた古いブランドに票が集まる傾向は多少あったかもしれない。

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