今年3月に協会を退職した保育事業の前責任者は、「滞納により補助金が差し押さえられ、保育所の運営が止められると、園児や保護者を路頭に迷わせることになる」と口にしていたというが、結局、2園とも民事再生手続きをとり、譲渡先でようやく開園された。
6月4日、立憲民主党の「子ども・子育てプロジェクトチーム」は内閣府と警察庁の担当者に今回の事件について問いただしたが、詳細は明らかにならなかった。会合では、全国の企業主導型保育所の16年度から17年度にかけての運営状況として、1保育施設が破産、9施設が民事再生、44施設が事業譲渡されていた実態が報告された。譲渡に際しては国が定めたルールはなく、児童育成協会に任されていた状況が明らかになった。
同党の阿部知子衆院議員は、「もともと育成協会に丸投げしたことが問題。育成協会に権能はないんですよ。補助金の決定は内閣府で、育成協会は委託されているだけ」と国の責任を追及した。
企業主導型保育所に整備費や運営費が認可園並みに助成される背景には、待機児童解消の切り札として導入された経緯がある。ずさんな審査体制の抜本的な見直しを強く求めたい。同時に、不可解な補助金の支給決定についても、その背景に何があったのか、捜査による解明を望む。(ライター・大川えみる)
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