その後、STEP2とSTEP3の練習を繰り返す。少しずつ補助の度合いを軽くしていき(トランポリンやロイター板、跳び箱を使用することもある)、最終的に一人で平らなマット上でバク転が跳べるようになることを目指す。

●記者もバク転に挑戦

 運動不足の記者(35)も挑戦し、現在3日目を終えたところだ。

【1日目】
 前転、後転を1~2回しただけで、平衡感覚がなくなり体がふらふらした。特に後転がうまくできず、首が痛くなる。実際に大人になって後転ができなくなる人は多いとのこと。後転ができない人は、両腕で体を支えられず、首に負荷がかかっているのが原因。

【2日目】
 壁倒立、倒立バッタン、背面跳びなどの練習を繰り返す。壁倒立は、姿勢をキープすることはできるものの、4~5回と繰り返すうちに手首に鈍い痛みが出る。体を支えようとしても腕に力が入らなくなった。

 実はバク転練習でネックになるのが「手首の弱さ」だ。筋力は十分でも、手首が強くないと痛くなって練習を中断する人がかなり多いという。手首の強さはすぐには育たないため、時間をかけて鍛えるよりほかないとのこと。

【3日目】
 STEP2の練習のほか、講師に補助してもらい実際にバク転を跳んでみる。講師が背中と腰に手を当ててしっかりと体を支えてくれるため、恐怖心はあまり感じない。現状だと、回転スピードが遅いのと、両腕がマットに着地したときに全体重を支えるだけの筋力が不足しているため、STEP2の練習のほか筋力トレーニングも必要。

 バク転を自力で跳ぶ道程はかなり険しいと感じたが、3日目でも上達している実感は大きい。40代から練習を始めて跳べた人も少なくないと聞き、勇気づけられる。

●そのほかの注意

 練習の前日は、アルコールは控える。また練習直前はあまり食べ過ぎない。練習中の飲料水は炭酸ではなく、スポーツ飲料などにする。これらはいずれも体が回転したり、腹部が圧迫されたりすることで嘔吐するのを防ぐため。また、運動不足の人の場合、練習の翌日か翌々日に必ず筋肉痛が出る。そのため最初は毎日連続ではなく、1日おきに練習したほうが懸命だ。(監修/「スタジオつばさ基地」秋本つばさ代表)

AERA 2019年4月15日号