両サービスとも詳細は見えないが、共通するのはそれぞれの強みを生かす戦略である点だ。

 アップル・アーケードは、利用者はそれぞれの端末にゲームをダウンロードし、ネットにつながっていないオフラインの状態でもプレーできる。iPhoneなど世界で使われているアップルの機器数は14億台。その機器の利用者に有料サービスに入ってもらい、その端末上でゲームを楽しんでもらうのが、アップルの戦略だ。

 一方、グーグルは、クラウドや巨大なデータセンターに強みがある。パワフルなサーバー群につながってもらい、端末にゲームをダウンロードしないで、ストリーミングでゲームをしてもらうのがグーグルの考えだ。

 これまでゲーム業界を牽引してきたソニー、任天堂の日本勢は、ゲーム専用機を売り、人気ゲームのタイトルを買ってもらうことが従来の基軸で、対照的なビジネスモデルといえる。

 世界のゲーム市場は1400億ドル(約15兆6千億円)に上るといわれる。従来と違うアプローチをとるアップルとグーグルの参入で、市場はさらに拡大するのか、それとも既存のゲーマーたちの奪い合いになるのか。その勝負が今年始まる。(国際報道部・尾形聡彦)

AERA 2019年4月22日号