来たる災害「ネットワーク被災」に対抗できる“究極の力”とは? 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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来たる災害「ネットワーク被災」に対抗できる“究極の力”とは?

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外岡秀俊AERA
M5以上の地震をプロット。環太平洋など一部に集中して起きていることがわかる (c)東京大学地震研究所 2006-2018/ (c)東京カートグラフィック株式会社 2006-2018

M5以上の地震をプロット。環太平洋など一部に集中して起きていることがわかる (c)東京大学地震研究所 2006-2018/ (c)東京カートグラフィック株式会社 2006-2018

平成の主な自然災害(AERA 2019年4月1日号より)

平成の主な自然災害(AERA 2019年4月1日号より)

 幾度となく巨大災害に見舞われてきた日本が、目指すべき社会とは何か。そして、対抗する術はあるのか。平成の30年を災害記者として生きた、ジャーナリスト・外岡秀俊氏がリポートする。

【年表を見る】平成の主な自然災害はこちら

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 私たちが災害の巨大リスクに気づいた時には、少子高齢化と過疎化で日本が縮み、巨額の財政赤字を抱え込む時期になっていた。リスクを無視したまま「成長」の夢を追うのではなく、限りなく潜在リスクを織り込み、復元力ある社会を目指すべきだろう。

 物理学者の寺田寅彦は1934年に「天災と国防」という随想を発表した。寺田は日本では天変地異が珍しくない、としたうえで、「忘れられがちな」2点を警告した。一つは、文明が進むほど天然の暴威による災害がその激烈の度を増す、という事実だ。二つめは社会の有機的結合が進んだ結果、時には一部の障害が、全系統に致命的な影響を及ぼす恐れが出てきたという点だ。

 平成を通して利便性のみを追求し、コストを削り続けた私たちは、自らが災害リスクを高めてこなかったか、胸に手を当てて考えたい。来たる災害が「ネットワーク被災」を伴うことは、ほぼ確実だ。対抗できる究極の力は、「人のネットワーク」だと銘記したい。

 戦後の日本は首都、中京、近畿という3大都市圏全域を襲う巨大地震を経験してこなかった。だがそれら地域の「幸せ」が永続するとは限らない。

76年に「東海地震説」を発表した地震学者の石橋克彦氏は当時、一般向けにトランプの例をあげて発生時期を説明した。1854年の安政東海地震から数えると、53枚のカードを3年に1枚、計41枚めくった。まだジョーカー(大地震)は出ていない。残り12枚。次に出てもおかしくないが、最後になることもある、と。

 結果的にジョーカー不在の地域もあるだろう。だが列島全体で見れば、その札は確実にある。明日か、最後の札か。いつか現れるジョーカーに備えることだけは、忘れずにいたい。(ジャーナリスト・外岡秀俊)

AERA 2019年4月1日号より抜粋


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