立憲民主党は議会の男女比を均等に近づける「パリテ」(フランス語で均等の意)の実現を目指し、今年1月に「パリテ・スクール」を開講。三浦まり上智大学教授(中央)を講師に、地方議員や立候補予定者らが、女性議員が増えることのメリットなどを話し合った(撮影/岡田晃奈)
立憲民主党は議会の男女比を均等に近づける「パリテ」(フランス語で均等の意)の実現を目指し、今年1月に「パリテ・スクール」を開講。三浦まり上智大学教授(中央)を講師に、地方議員や立候補予定者らが、女性議員が増えることのメリットなどを話し合った(撮影/岡田晃奈)
昨年5月には、政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)が成立。女性議員の増加を目指すのであればハラスメント対策も必要だ (c)朝日新聞社
昨年5月には、政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)が成立。女性議員の増加を目指すのであればハラスメント対策も必要だ (c)朝日新聞社
女性議員の割合増えてきたがまだまだ低水準(AERA 2019年2月11日号より)
女性議員の割合増えてきたがまだまだ低水準(AERA 2019年2月11日号より)

「1票の力」を振りかざす有権者のハラスメント行為に悩む女性議員たち。このような「票ハラ」は、女性が政治の道を諦める大きな原因にもなる。4月の統一地方選を前に、立ちはだかる「壁」を崩す試みが広がる。

【グラフを見る】現在の女性議員の比率は?

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「支持者」が、豹変した。2018年に初当選した東京都町田市議会議員の東友美さん(34)が、選挙期間中にツイッターで熱心に応援してくれた男性と面会したときのことだ。

「町田市のことで相談がある」と連絡があり、市内のカフェで話を聞いていたところ、男性は急に声を荒らげて、「お前そんな程度で議員としてやっていけんの?」「SNSで中傷することもできるんだぞ」などと非難を始めた。他の客に助けを求めることもできず、執拗な攻撃が続いた。

 東さんは、母子家庭での貧困や母親の介護などを経験し、「誰もが居場所を持てる社会を作りたい」と政治の道を選んだ。だが、市議選に出馬した頃から、男性有権者や支持者からのハラスメントに悩まされてきた。

 選挙活動中には、駅前で演説しているとき突然男性から抱きつかれたり、道で知らない男性に呼び止められて、「僕の性体験は……」と聞かされたり。何カ月間もほぼ毎日、自己紹介や日記を送ってくる人もいる。知らない男性から「つきあっている人はいますか」とメッセージが届くことも珍しくない。

「議員たるもの、どんな人も平等に受け入れなければいけないという思いもあって、当初はそうした連絡にもすべて返信していました。毎朝メールをチェックするたびに気が沈みます。4年間こんなことを繰り返さなければならないのでしょうか」

 今は初対面の男性とは市庁舎の議会会派室以外では会わないようにしている。不審なメールは所属する立憲民主党の本部へ転送し、内容を確認してもらったこともあった。

 支持者だった人が急変するのは珍しいことではないという。ある日ツイッターで自宅のベランダに来る鳩のことをつぶやいたら、それまで「あなたは素晴らしい」と言っていた男性が急に「鳩のフン害で悩む人の気持ちがわからないのか」「お前はダメなやつだ」と中傷を始めたこともあった。

「最初は『応援しています』『東さんは素晴らしい』と異様に美化し、私に依存してきて、私の言動が少しでもその人が思うものじゃないと攻撃に変わる。同じようなパターンが多いです」

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