一条ゆかり「『変わらない』は褒め言葉」人気の裏に努力とプライド (4/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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一条ゆかり「『変わらない』は褒め言葉」人気の裏に努力とプライド

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矢内裕子AERA
「一条ゆかり展」内にある『有閑倶楽部』の原画コーナー。仕事中に愛用していた作務衣を着てほほ笑む一条ゆかりさん(撮影/写真部・加藤夏子)

「一条ゆかり展」内にある『有閑倶楽部』の原画コーナー。仕事中に愛用していた作務衣を着てほほ笑む一条ゆかりさん(撮影/写真部・加藤夏子)

 現時点で、一条さんの最後の長編となっているのが、第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した『プライド』だ。

「さて何を描こうかと迷った時に、初心に帰ろうと思いました。私にとっては、『デザイナー』が100%自分から生まれた作品で、タイトルを『デザイナー』にするか『プライド』にするか、迷ったんです。デビューから一貫して、女性の自立と『仕事におけるプライド』は私の大事なテーマでした。そこで、あらためて女性の生き方について描いてみようと思いました」

『プライド』は、資産家の令嬢・史緒と酒浸りの母親に育てられた萌という対照的な2人の女性が、オペラ歌手をめざす物語だ。

「『プライド』は、初めて読者のために描こう、と思った作品です。もちろん、それまでも読者を意識していたけれど、自分の好きなものをみんなも喜んでくれたらいいな、という感じでした。でも『プライド』では、今、人生の岐路に立って、悩んだり苦しんだりしている人に、この物語がなにか役に立ったらいいな、と考えながら描きました」

 本作の連載途中で、一条さんは緑内障を発症した。ペンで描くことがままならず、漫画制作をパソコンに切り替えている。この作品を描き終えた2010年から現在に至るまで、一条さんは漫画家を休業中だ。

「一条ゆかりは私が作った偶像です。私は一条ゆかりのプロデューサーであり、主演女優だった。一条ゆかりの看板を守るために、本名の藤本典子は奴隷のように生きて、すべてを捧げてきました。だからこそ、ここで一度、酷使してきた身体を健康にして、良い形で70歳を迎えたいと思うようになったんです。緑内障はもう治りませんが、腱鞘炎はよくなってきました。仕事があったから、私はちゃんとしなくちゃと思ったし、大変だったけれど、漫画は私に地位も名声も財産もくれました。漫画には感謝しかありません」

(ライター・矢内裕子)

AERA 2018年10月22日号


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