【芸人】山里亮太さん(41)/1977年、千葉県生まれ。漫才コンビ「南海キャンディーズ」のツッコミ担当。関西大学文学部卒。2004年、ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、M-1グランプリ2004準優勝。著書に『ニュースがもっとよくわかる本』(池上彰氏との共著)、『ニュースの読み方教えます!』など(撮影/写真部・大野洋介)
【芸人】山里亮太さん(41)/1977年、千葉県生まれ。漫才コンビ「南海キャンディーズ」のツッコミ担当。関西大学文学部卒。2004年、ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、M-1グランプリ2004準優勝。著書に『ニュースがもっとよくわかる本』(池上彰氏との共著)、『ニュースの読み方教えます!』など(撮影/写真部・大野洋介)

 嫉妬の炎が燃え上がりやすい時代になった。だが、うまく“転換”すれば前進のための燃料にもなる。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さんは、こんな方法で嫉妬を転換しているという。

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「養成所で『関東人おもんな(おもしろくない)』と言ってきた奴全員許さない。売れて、すり寄ってきたときに名前忘れてる感全力で出す」

「社員の○○が否定してきたことを全部やる。それで評価されたあとにダメ出しをもらいに行って全部無視する」──。

 芸人の山里亮太さん(41)がNSC(吉本興業のタレント養成学校)時代から書き続けているノートには、こんな言葉がずらりと並ぶ。

 異様に嫉妬深い性格であるという山里さん。デートスポットにタバコと花を添えて、「そこで何かがあったんじゃないか?」という空気をつくったり、動物の交尾シーンを見て言いようのない敗北感に襲われたりしたこともあった。しかし嫉妬や羨望といったネガティブな感情を「燃料に変換させるワザ」を使うことで、努力を続けることができたという。

 その一つが「自信貯金」というシステム。電車でしゃべっていたら女性が笑ったとか、人にほめられたとか、そういった日々の出来事を「自信銀行山里支店」に貯金。壁にぶつかってくよくよしそうになった時、この貯金を崩して自信を保つ。これは言い訳を用意しているのではなく、くよくよする時間を短くするためのスキルなのだ。

「嫌なことを何かで発散するのは、自分のためになっていない。人にグチを聞いてもらうとか、お酒を飲んで『明日から頑張ろう』とかは、嫌なことの原因になったヤツに時間を奪われていることになる。嫌なことを発散させる必要はなく、いかに早いスピードで転換できるか。こいつをどうやったらつぶせるかと考えて、そのために何かしなきゃいけない」

 山里さんの著書『天才はあきらめた』(朝日文庫)には、嫉妬の炎でエンジンを動かし続け、爆発的な努力をするさまが詳細に書かれている。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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