耳の肥えた大人から圧倒的な支持を集めるクレイジーケンバンド。サウンドの核を作るボーカルの横山剣、ギターの小野瀬雅生、ドラムの廣石恵一に聞いた。
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──横山剣さん(58)は元クールスR.C.、廣石恵一さん(57)は元オメガトライブなど、小野瀬雅生さん(55)含め一度みなさんある程度キャリアを積んでから合流しています。クレイジーケンバンド(以下、CKB)のサウンドの多様性の背景には、メンバーそれぞれの音楽の指向性やキャリアが関係していますか。
小野瀬雅生:僕はもともとロック畑の人間で、剣さんからはソウル、ファンクを教えてもらっている。その中で共通する部分もあって。
横山 剣:アメリカンロックは共通点ですね。廣石さんに借りた橋幸夫のリズム歌謡や、小野瀬さんから借りたブラジルのエウミール・デオダートやフランス・ギャルとか、借りた音源で目覚めたこともあります。
廣石恵一:のっさん(小野瀬)はロックだし、僕はAOR。もともと持っているものが違い、集合も遅かったので、逆に音楽性の違いでうまくいかない、ということにはならなかった。そんなメンバーが剣さんのところに集まってファンクをやりだして、そこから横山剣サウンドに切り替わっていった感じです。
──20年間、音楽制作のスタイルは変わらないですか。
廣石:剣さんが作った簡単なデモテープやその場で弾いた曲を、スタジオで「こうですか?」「そうそう!」みたいな感じでバンドのアレンジにしていくんです。
小野瀬:ライブ当日に、こんな曲ができたと持ってきて、リハーサルの場でちょっとやってそのままライブで演奏して、その曲を育てるかどうか考える、ということもありますね。
横山:長者町フライデーの定例ライブとかでね。「長者町ブルース」が顕著な例です。
──土地や場所の持つ念や電波をキャッチする形でできた曲も多いとか。
横山:磁場を感じるということですね。そういうのはユーミン(松任谷由実)さんの影響大かもしれません。高1の時です。
──剣さんの脳内に降りてきた音楽を、小野瀬さんと廣石さんが解読作業して楽曲にしていくという方法ですね。
横山:自分がデモテープで表現できることの限界はあって、「本当はもっとこうしたい!」というのを、わざわざ言わなくても勝手知ったる部分でちゃんとその音にしてくれるんです。頭の中でこのコードが鳴っているんだけど、押さえられない和音だったりもする。のっさんどうしよう?と言ったら「これですか?」と鳴らしてみてくれて、「それそれ!!」と。