C型を選んだのには、わけがある。リュウグウには、太陽系が生まれた当時の水や有機物が今も残されていると期待され、持ち帰った砂が、地球にある水はどこから来たのか、生命を形づくる有機物はどこでできたのか、といった謎を解く手がかりになる可能性があるんだ。

 太陽系の惑星や小惑星は、約46億年前に小さな天体が衝突・合体を繰り返してできたと考えられている。地球のような大きな惑星は、その過程で岩石がドロドロに溶け、太陽系ができた当時の物質が元の姿をとどめていない。これに対して小惑星は衝突・合体の回数が少なく、できた当時の物質が変化せずに残っていると考えられる。そのため、太陽系や生命の起源を知る上で、小惑星の研究は重要なものとなっている。

■9、10月の着陸に注目

 8月下旬は物質の分布や地形の調査を終えて、着陸地点を決めるころだ。着陸地点は、着陸時に発電のための太陽光を都合よく受けられる赤道付近の、でこぼこの少ない平らな場所が適している。有機物がありそうな場所を選ぶ必要もある。いい場所が見つかるといいね。9、10月に予定されている着陸が待ち遠しい。最新情報が気になる人は、インターネット「JAXAはやぶさ2プロジェクト」などのホームページをチェックしよう。

【小惑星ってどんな星?】
 太陽のまわりには地球や木星など八つの惑星とその衛星が回っている。惑星よりやや小さい準惑星という天体も五つある。これらのほかに、小惑星や彗星(太陽に近づくとガスなどを噴き出す)と呼ばれるたくさんの小さな天体が太陽のまわりを回っている。小惑星は最大でも直径が数百・で、多くは火星と木星の間にある「小惑星帯」に集まっている。これとは別に独自の軌道で太陽のまわりを回るものもあり、そのうち地球に近づく軌道をもつものを「地球接近小惑星」と呼ぶ。初代はやぶさが訪れたイトカワも、今回のリュウグウも、地球接近小惑星だ。

※月刊ジュニアエラ 2018年9月号より

ジュニアエラ 2018年 09 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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