安倍内閣「ヤンキー政権」にどう対峙するか(※写真はイメージ)
安倍内閣「ヤンキー政権」にどう対峙するか(※写真はイメージ)

『フェイクの時代に隠されていること』は、立憲民主党初代幹事長の福山哲郎氏と精神科医の斎藤環氏が、安倍政権の政治とその裏側にまで言及した一冊だ。リブロ・野上由人さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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 これは「〈3.11〉以後」を考える対話だ。2011年のあの日、政権は菅直人内閣。官房長官は枝野幸男、そして官房副長官に福山哲郎がいた(現在、枝野、福山は立憲民主党の幹部である)。

 翌12年から現在に至る安倍晋三内閣。斎藤環はこの政権を「ヤンキー政権」と名づけた。知性や政治的な正しさ、論理やエビデンスより空気(忖度!)や情緒を重視する文化に、この政権は支えられているとする。その結果、国会審議の機能不全を招いているとしたら、民主政治にとって危機的だ。

 では、どうするか。斎藤は精神医療の「オープン・ダイアローグ」という手法を提示する。これに福山が、討論型世論調査など具体的な実践を踏まえて応える。政治的コミュニケーションの方法論を探る点こそが、類書にはない読みどころ。(文中敬称略)

AERA 2018年9月3日号