『ニッポンの本屋』(本の雑誌編集部編)は、34の書店を撮影した本屋だけの写真集だ。リブロ・野上由人さんは、同著の魅力を次のように寄せる。
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本屋の写真集である。といっても、エクスナレッジのシリーズ『世界の夢の本屋さん』のような、誰の目にも印象的な空間デザインが並ぶものではない。あちらはさすがに建築書出版社。本書に並ぶのは、一見平凡な「普通の本屋さん」の、主に「本棚」の写真だ。
本棚に並ぶ本の書名にピントが合っているので、写真を見れば、この本屋がどのような本を選び、それをどのような順序で並べているのかがよくわかる。短い紹介文と併せ読めば、その本屋の特色が見えてくる。本屋の特色は(派手な外観や内装ではなく)「棚」に表れるものだと本書は静かに主張している。
雑誌連載をまとめたもので、当時は営業していたがその後、閉店してしまった本屋も記録されている。例えば、あゆみBOOKS小石川店の「棚」が、ここに永遠に保存されている。写真が、多くを語っている。
※AERA 2018年7月23日号