国民的子役スターだった間下このみさんは妊娠6カ月で死産を経験。その翌年、流産や死産の原因となる難病「抗リン脂質抗体症候群」と闘いながら長女を出産した。死産など、知られざる赤ちゃんの死の現場を取材した『産声のない天使たち』(朝日新聞出版)で、間下さんは赤ちゃんの命と向き合った日々を語った。
* * *
結婚して1年が経った頃、おなかに来てくれたのが「コッコちゃん」でした。夫と一緒に抱き合って喜んで、気づけばいつもおなかをさすっていました。妊娠6カ月に近づいたとき、胎動を感じないなと思う日がありました。インターネットで調べると、赤ちゃんが寝ていることもあると書いてあって。様子を見たのですが、心配になって、3日後に病院へ行き、エコー検査をすると、いつも朗らかな先生が長い沈黙の後、うなるように言いました。
「なんでだろう……。赤ちゃん、亡くなっていますね……」
その瞬間、私は泣き崩れました。「ごめんね」という言葉が体中をかけめぐりました。夫にも両親にも、何よりもコッコちゃんに申し訳なく、自分を強く責めました。
死産用の陣痛促進剤の副作用で39度の熱を出しながら、一晩中陣痛と闘い、亡くなったコッコちゃんを産みました。泣かない赤ちゃんを産むことがつらいという方もいらっしゃいますが、私は自分の力でこの世に産んであげられたことが、とても嬉しかった。夫と一緒に対面したコッコちゃんは、280グラムと小さかったけど、とってもかわいかった。悲しみは、火葬を済ませ、やるべきことがすべて終わった後にドンとやってきました。外で親子連れや妊婦さんを見ると「何で私だけ……」と思ってしまい、1カ月くらいは家に閉じこもり、泣いて過ごして……。
けれどもインターネットで死産や流産を経験した方のブログなどを読み、つらい思いをしているのは私だけではないと、大きな力をいただきました。心が少しずつ回復してきた頃、新たな命を授かりたいと思えるようになり、再び妊娠することができました。そのときの詳しい検査で、私は「抗リン脂質抗体症候群」だったとわかりました。自己免疫疾患の一つで、全身の血が固まりやすく、妊娠中の場合は胎盤の血管にも血栓ができて胎児に血液が供給されなくなり、流産・死産になるケースもあるという病気。不育症の原因の一つです。すぐに治療をスタートすると同時に、この病気を知ることで、おなかの中で亡くなってしまう赤ちゃんが一人でも減るかもしれないという思いから、ホームページで公表しました。多くの励ましをいただきましたが、再び死産をすると、この病気は赤ちゃんが産めない病気なのだと間違って認識されてしまう、絶対に無事に産まなくてはという責任も感じました。