なんと高度な日本語が必要なことか。そのために橋本さんは、映画「プラダを着た悪魔」に続けて、樋口一葉、紫式部、夏目漱石、歌舞伎まで召喚し、最上級の意地悪表現を具体的に読み解いていく。

 ああ、優雅な意地悪を言ってみたい!

「そのためには教養をつけること。歌舞伎の『助六(すけろく)』の見せ場のひとつは、美女の揚巻(あげまき)が敵役の意休に悪態(あくたい)をつく場面ですが、江戸時代の人たちは意地悪が得意でした」

 本書では「男より女が意地悪なのではなく、女の意地悪のほうが面白い」といった指摘も。みんなで丁寧な言葉のボキャブラリーを増やし、意地悪を磨いていきましょう。(ライター・矢内裕子)

AERA 2017年12月4日号