ブレハッチ×恩田陸『蜜蜂と遠雷』対談「ショパン演奏に潜む苦悩と美学」

2017/11/12 11:30

恩田陸(おんだ・りく):『夜のピクニック』『ユージニア』『中庭の出来事』など著書多数。浜松国際ピアノコンクールを4度取材した『蜜蜂と遠雷』で直木賞を受賞/Rafal Blechacz:1985年生まれ。2005年のショパン国際ピアノコンクールで優勝と副賞をすべて獲得した。新世代のスターとして世界中で演奏活動を行う(撮影/写真部・大野洋介)
恩田陸(おんだ・りく):『夜のピクニック』『ユージニア』『中庭の出来事』など著書多数。浜松国際ピアノコンクールを4度取材した『蜜蜂と遠雷』で直木賞を受賞/Rafal Blechacz:1985年生まれ。2005年のショパン国際ピアノコンクールで優勝と副賞をすべて獲得した。新世代のスターとして世界中で演奏活動を行う(撮影/写真部・大野洋介)

 恩田さんの直木賞受賞作『蜜蜂と遠雷』執筆のきっかけになったのが、新世代のスターとして世界中で演奏活動を行うピアニスト・ブレハッチさんの存在だった。初対面を果たした二人が、ショパンの神髄を語る。

恩田:私は昨年、「芳ヶ江国際ピアノコンクール」を舞台に、若いコンテスタント(コンクール参加者)が競い合い成長していく小説『蜜蜂と遠雷』を書きました。このコンクールのモデルとなったのは、ブレハッチさんも最高位経験のある「浜松国際ピアノコンクール(以下、浜松ピアノコンクール)」です。何度も浜松に通ううち、素晴らしいコンテスタントだったブレハッチさんのことを聞き、それが執筆のきっかけとなりました。ブレハッチさんにとって浜松ピアノコンクールでの経験(優勝者なしの第2位)はどんな意味があったのでしょうか。

ブレハッチ(以下、ブ):とても大きな意味がありました。というのは浜松ピアノコンクール後にショパン国際ピアノコンクール(以下、ショパンコンクール)への参加を控えていたからです。それまでポーランド国内で開催された小規模のコンクールへの参加経験はありましたが、浜松のように四つも段階があって、3週間続くような世界規模のコンクールは初めてだったのです。

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