声優・朴ロ美が語る「鋼の錬金術師」 収録ではいつもクタクタだったワケ(※写真はイメージ)
声優・朴ロ美が語る「鋼の錬金術師」 収録ではいつもクタクタだったワケ(※写真はイメージ)

 全世界シリーズ累計7千万部を突破した、荒川弘の人気漫画『鋼の錬金術師』。原画展が開催中だ。エドワード・エルリックの声を担当している、声優の朴ロ美(ロは王に路)さんに、本作に対する熱い思いを聞いた。

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『鋼の錬金術師』は、私にとっても特別な作品です。やりがいがあった一方、エドはやんちゃで「お前のエネルギーを全部よこせ!」と、全力で来るので、収録が終わると、いつもクタクタ。スタッフさんたちの「痛いものは痛いと伝える作品にしよう」という覚悟のある想いを受け止めながら全力で取り組んでいました。

 エドは完全無欠のヒーローではなくて、自分が犯した禁忌や弟アルへの自責の念を抱え、常に葛藤をしながらも「全てを取り戻す」という強い意志のもと、むきだしのハートで様々な困難に体当たりし、ボロボロになりながらも何かを掴み取る旅を続けます。私が好きなセリフは「全は一、一は全」。世界と自分がつながっている錬金術の仕組みを、過酷な修業を経て、幼いエドとアルが理解したときの言葉です。

 芝居の稽古をしているときにも「(戯曲を)理解し、分解し、再構築しないと!」と、若手に激をとばし、「それって『鋼の錬金術師』では」と突っ込まれたり(笑)。もう作品が私の一部になっているのかもしれませんね。(構成/ライター・矢内裕子)

AERA 2017年10月16日号