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日本の科学研究失速で見えたノーベル賞受賞より“大切なこと”

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長倉克枝AERA
近年、日本の科学研究が失速している(※写真はイメージ)

近年、日本の科学研究が失速している(※写真はイメージ)

(c)朝日新聞社

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 輝かしい実績を誇ってきた日本の科学研究。しかし、近年、日本の科学研究が失速しているという。背景には何があるのか。ネイチャー・インデックス創設者のデビッド・スウィンバンクスさんに聞いた。

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 今年3月、ネイチャー・インデックス日本版特別企画冊子で、日本の科学技術研究がこの10年で失速していることを取り上げた。日本のみならず英国やオーストラリアからも反響が大きく、出版から半年たってもニュースなどで引用され続けている。

 特集の企画を検討していた昨年8月から9月にかけて、シュプリンガー・ネイチャー、エルゼビア、ワイリーやトムソン・ロイター(現クラリベイト・アナリティクス)といった科学系出版社が集まる会議で共通認識として示されたのが、日本の科学論文の出版数が過去数年にわたり、複数の分野で大幅に減少しているということだった。

 根拠を示すために、世界の研究成果のデータベースであるネイチャー・インデックスのほか複数のデータベースを使って分析をした。このデータに基づいた結果には疑いがない。特集が、科学研究に対する資金の増加や、若手研究者の長期的な支援といった、より好ましい変化につながればと期待した。

 日本の科学研究が失速した大きな背景のひとつは、政府による研究資金の減少だ。大学の管理費や人件費の元となる基盤的経費も、2004年度以降毎年1%ずつ削減されている。若手の長期的雇用は減少し、科学者を目指すキャリアパスは魅力的ではなくなってしまった。

 研究者の心構えや慣例にも課題はある。若手研究者たちは学術界から飛び出すことに消極的だが、企業などで科学に関連するほかのキャリア形成を模索するべきだ。

 ノーベル賞は何年も前の研究に対して授与されることが多いのですぐに影響が出るわけではないが、長期的には日本人の受賞が減少する可能性はある。

 それよりも重要なのは、科学を学んだ若者が科学に関連する職に就けるかどうかだ。こちらのほうが差し迫った懸念事項で、政府が企業とともに取り組む必要がある。世界中の政府機関は研究者たちにイノベーション促進への貢献を呼びかけているが、日本も例外ではない。(構成/編集部・長倉克枝)

AERA 2017年10月16日号


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