人間椅子・和嶋慎治が小説に求めたアイデンティティーとは? 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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人間椅子・和嶋慎治が小説に求めたアイデンティティーとは?

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和嶋慎治AERA
人間椅子・和嶋慎治さんの読書遍歴は?

人間椅子・和嶋慎治さんの読書遍歴は?

 子どもの頃読んで忘れられない本、学生時代に影響を受けた本、社会人として共鳴した本……。本との出会い・つきあい方は人それぞれ。各界で活躍する方々に、自身の人生の読書遍歴を振り返っていただくAERAの「読書days」。今回は、ハードロックバンド「人間椅子」のギター・ボーカルライターの和嶋慎治さんです。

*  *  *
 高校に入って、愕然とした。周りが読書家ばかりである。ドストエフスキーだのトーマス・マンだの……探偵小説やSF小説ばかり読んでいる自分が、急に恥ずかしく思えてきた。さあそれからは僕も感化されて、文学を読み漁る日々。やっぱり小説は殺人じゃなくて、人生の歓びや内面の懊悩を描くべきだよ。

 当時感心したのは、昭和の新戯作派。「お前こんなの読んでいるのか」中学の国語教師をしている父親に太宰治を没収されたりしたが、デカダンへの憧れはやむものではない。坂口安吾にかぶれ、まっとうな人間は堕落するものだと激しく思い込む。勉強をしなくなった。1浪して、からくも大学に入学。文学部ではないものの、僕の小説好きは変わらずだった。その頃のバブリーで軽薄な空気に逆行するように、谷崎潤一郎や宇野浩二などに耽溺。時代になじめなかった僕は、昔の小説を読むことで、必死にアイデンティティーを保っていたのだ。

AERA 2017年9月18日


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