いまこそ9.11を語ろう 映画「ナインイレブン」監督インタビュー (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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いまこそ9.11を語ろう 映画「ナインイレブン」監督インタビュー

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中村千晶AERA

「ナインイレヴン 運命を分けた日」(新宿武蔵野館、丸の内TOEIほか全国公開中) 配給:シンカ、協力:松竹 (c)2017 Nine Eleven Movie, LLC

「ナインイレヴン 運命を分けた日」(新宿武蔵野館、丸の内TOEIほか全国公開中) 配給:シンカ、協力:松竹 (c)2017 Nine Eleven Movie, LLC

Martin Guigui/1965年、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。12歳でプエルトリコ交響楽団との演奏でデビューし作曲家、音楽家の顔も持つ(撮影/写真部・小山幸佑)

Martin Guigui/1965年、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。12歳でプエルトリコ交響楽団との演奏でデビューし作曲家、音楽家の顔も持つ(撮影/写真部・小山幸佑)

 9.11に遭遇した6人の運命を描いた映画が公開中だ。惨劇から16年後の制作の意味とは──。監督もキャストも悩み、考え抜いた。

 2001年9月11日、ワールドトレードセンタービルのエレベーターに乗り合わせた人々を描く「ナインイレヴン 運命を分けた日」。実話を基にした舞台劇の映画化だが、企画が持ち上がった当初、マルティン・ギギ監督(52)は躊躇したと話す。

●俳優たちも悩み抜いた

「9.11を描くのは時期尚早ではないか、という疑念はありました。でもあれから16年。私たちは次の世代に何が起きたのかを伝える責任がある。あの日、正しい振る舞いをしたヒーローたちに敬意を払い、彼らの物語を描かねばと決心したのです」

 俳優たちも監督と同じく「いまこれを語るべきか?」と悩んだ。主演のチャーリー・シーンは一度オファーを断ったという。

「『いい脚本だけど僕には出演できない』と。彼はニューヨーカーで、9.11で友人を亡くしてもいるのです。最終的には『脚本に少し手を加えていいなら』と承諾してくれました」

 エレベーターに閉じ込められるのはウォール街の実力者、バイクメッセンジャーなど人種も背景も異なる人々だ。そんな彼らがあのとき何を感じ、どう行動したのかがつぶさに描かれる。チャーリーの友人でやはり生粋のニューヨーカー、ウーピー・ゴールドバーグも脚本に共鳴し、出演を決めた。撮影中も迷うたびに俳優やスタッフと話し合い「描くべきだ」と励まし合った。

「あの事件が起きて、その後世界がどうなったかは歴史に刻まれている。私が伝えるべきなのは巻き込まれた人々のヒューマンストーリー。そこを徹底的にリアルに描きました」

「なぜ、いま?」の問いには9.11の記憶が、怒りや憎悪を再び増幅させるのではという懸念もあるだろう。ましてトランプ政権下、自国第一主義が声高に叫ばれ、イスラム教徒や移民への差別や排除の声があがる時代だ。


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