「普通、大臣ですら利害関係がある人間と食事をしたりすることは避けるが、安倍さんは首相になっても変わらなかった」

 実際、朝日新聞の首相動静を見ても、13年11月以降、ゴルフ4回、会食11回をともにしている。その関係の近さから連日、野党から厳しい追及を受ける安倍首相。「腹心の友」が困っているのだから、加計氏も会見の席に着き、言葉を発する必要があるのではないか。

 獣医学部の建設が進む愛媛県今治市で4月11日、市民向けの説明会があった。住民のこんな質問に拍手が起きた。

「今治市の大きなお金を加計学園に出すわけですよね。それなのに理事長の加計孝太郎さんはなぜ、ここにいらっしゃらないんですか?」

 獣医学部新設の必要性自体に疑問が上がるなか、創設者となる加計氏の思いも問われている。そもそも、加計氏はなぜ、獣医学部をつくろうとしているのか。

●獣医学科に通う息子

 獣医師による政治団体・日本獣医師連盟委員長で、元自民党衆議院議員の北村直人さんは過去に2度、加計氏と会っている。

 06年の暮れから、関西の獣医師を通じ、面会の依頼があった。日本獣医師会が学校の設置認可を出せるわけでもなく、文科省から獣医師の養成にかかわる大学等の設置を認めない告示も出ている。それでも熱心な依頼は続いた。間に入っていた獣医師の顔を立てるため、北村さんは面会を受け入れた。加計氏が指定した東京・赤坂の小料理屋「佐藤」で向き合ったのは、07年2月。名刺交換を終えると、加計氏は単刀直入にこう切り出したという。

「獣医学部をつくりたいんです」

 ただ、教育や獣医学に関する考えや思いを話すことはない。北村さんは思わず問うた。

「ところで、なんで獣医学部なんですか?」

 北村さんは加計氏がこのように答えたと記憶している。

「息子が、鹿児島大学の獣医学科にいるんです。入学式のときに校舎や家畜センターを見て、これなら自分でもできると感じました。獣医学部は受験倍率も安定して高い」

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