Mさんは、離婚して半年後に、ブライダルゼルムが提供する結婚相談所に登録をした。そこで紹介されて出会った男性(61)と再婚。ハワイで挙式をし、現在は新しい夫と小型犬とで暮らしている。式には成人した3人の娘にも参列してもらった。

「自分は年だからと諦めないでいてよかった。今は新婚のようで初々しい気持ちです」

 老後も街中で手をつないで歩いたり、いつまでも仲のいい夫婦が理想だ。

 今回の1千人調査の「離婚をしたいと思ったことがあるか」という設問に、子どものいる女性の約半分が「ある」と答えている。その割合は夫婦だけの生活の人よりも高い。

●女性は男性よりクール

 博報堂生活総合研究所の「生活定点」調査によれば、「夫婦はどんなことがあっても離婚しない方がよいと思う」と答えた人は1998年には男性で約40%、女性で約27%だったのに対し、2016年には、男性約29%、女性約19%に減少している。リクルートブライダル総研による「離婚に関する調査2016」によれば、離婚経験者において、離婚当時に自分が望んでいた割合は、男性で約29%、女性で約64%となる。女性は男性よりもクールだ。

 Sさん(女性・33)も子どもが生まれて夫への積もった不満が爆発し、離婚に至った。育児と家事の大半をSさんが担い、自分は外の仕事も家の仕事もしている感覚なのに、それが当たり前のように思われていて感謝の言葉もない。限界を感じて離婚をしたいと伝えた時に、

「私だけが自由じゃなかった」と夫に不満を言うと、

「老後になれば、またふたりの自由な生活に戻れるよ」

 と慰められてあきれた。

 Sさんが離婚して1年、今は新しいパートナーと事実婚関係で生活をスタートさせている。Sさんは言う。

「20代のときは夫婦になってもお互いが自分の好きなことを続けられることが魅力だと思っていたけど、互いの歩み寄りがないと夫婦は成り立たない」

 今のパートナーは違う。前回の反省を含めて接している部分もあり、喧嘩をしたことがないのだという。

「でも、再び結婚をするメリットが感じられない。好き同士で一緒にいられたらそれでいい」(Sさん)

 結婚はふたりだけのものじゃない。それが、結婚というもののハードルを上げているのだ。(編集部・市岡ひかり、柳堀栄子)

AERA 2017年3月20日号