ジェ・フェさん(29)は、2年ほど前に娘を米国で出産した。昨年末には、息子を産むために再び観光ビザで渡米。入国審査の厳しいロサンゼルスを避けてラスベガスから入り、1月に出産した。

「彼女は英国のトップ校で教育を受け、世界の有名大学の教育の威力の大きさを知った。だからわが子には米国の最高の教育を与えたいと。彼女は乳母も雇えるほど裕福だ」(リウ氏)

 妊娠して渡米し、出産すること自体は違法ではない。だが、渡航の目的について審査でうそをつくのは違法だ。フェさんが赤ちゃんの米国パスポートを取った直後、当局の摘発に遭った。

 フェさんは出産後、すぐ帰国するつもりだった。米国に住み着く目的ではなく、十数年後に米国の高校や大学に子どもを通わせるために戻ってくる計画だったからだ。

 フェさんは4月、中国の祖母が危篤という理由で子どもを連れて中国に帰国。裁判所の国内待機命令を無視したことで、フェさんが米国に再入国すれば即、逮捕が待っている。

AERA 2015年10月5日号より抜粋