アローラ氏によると、孫氏との出会いは、ヤフー・ジャパンが10年に検索エンジンをグーグルに切り替えた取引で、交渉相手をつとめたときだった。意気投合したふたりは、

「マサ(孫氏)がカリフォルニアに来るたびにワインを飲みながら議論する仲になり、互いに尊敬が深まった」(アローラ氏)

 やがて孫氏が「一緒に働くべきだ」と誘いをかける。はじめは冗談だと思った、というアローラ氏も、猛烈な“ラブコール”を受けて次第に乗り気に。最後は、ロサンゼルスの日本食レストランで、孫氏がナプキンの裏に報酬などの条件を手書きして渡し、移籍が決まった。

 孫氏は「朝起きて電話をかけるのは彼、寝る直前にかけるのは彼。ちょっとおかしいんじゃないかというくらい仲良くやっている」というほれ込みよう。アローラ氏も、孫氏をグーグル創業者のラリー・ペイジ氏やアップル創業者の故スティーブ・ジョブズ氏らと同列の「世界でも限られる人物」と評価して、こう言う。

「我々には多くの共通点がある。将来ビジョン、どこを改善すべきか、どの事業に投資すべきかも同じ考えだ」

AERA  2015年5月25日号より抜粋