ソフトバンクの孫正義社長が、ヘッドハントしたばかりの外国人幹部を、後継者の筆頭候補に指名した。これは戦略なのか、気まぐれなのか。

 5月11日、都内のホテルであったソフトバンクの決算会見。

「私をはるかに上回る才覚がある。事故に遭わない限り、最も重要な後継者候補です」

 こう言って孫正義社長(57)が名前を挙げたのは、同社が昨秋、「バイスチェアマン」として招いたグーグルの元最高事業責任者、ニケシュ・アローラ氏(47)だった。6月19日付で、ソフトバンクグループナンバー2の代表取締役副社長に就く。

 アローラ氏は、インド出身。21歳で渡米し、通信業界アナリストや米携帯大手・Tモバイルの欧州部門幹部などを歴任。2004年にグーグルに入ると、めきめきと頭角を現し、首脳陣の一角に上りつめた。インドの財閥出身の女性実業家と昨年挙げた結婚式には、ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー夫妻も出席したといい、「IT業界のスター」(ソフトバンク広報)のひとりだ。

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