堅いカバーとゴムバンドの統一感が美しいモレスキン(撮影/今村拓馬)
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堅いカバーとゴムバンドの統一感が美しいモレスキン(撮影/今村拓馬)
映画の小道具としての登場頻度も高い(撮影/今村拓馬)
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映画の小道具としての登場頻度も高い(撮影/今村拓馬)

 感じたことや出会った人について、人生の記録を愛おしむように手帳に書く人が増えている。多くの人が支持する「モレスキン」の人気の秘密に迫る。

 モレスキンは、定番のクラシックノートブックを世界で380万冊売る(2013年)。モレスキンのファンサイト「モレスキナリー」を運営するライターの中牟田洋子さん(32)は、その魅力を、「シンプルでお世話がされていないところです」と話す。年始めに日付スタンプを押すなど、愛用者たちにはそれぞれの“儀式”がある。そうやって日々を重ねて1年後に“自分の本”ができあがるのだ。

 そもそもモレスキンは、ゴッホやヘミングウェーが愛用していたという伝説の手帳を1997年に復刻したもの。復刻したのはイタリアのModo&Modo社(現在のモレスキン社)
共同創業者のマリア・セブレゴンディさん。日本では01年から販売を開始し、マニアも多い。

 スマホなどを手帳代わりに使う人も増える中で、今後の販売戦略について、国内総販売店エムディーエスのモレスキン広報担当、江野澤由美さんはこう話す。

「手帳の手触り、書くときの感触はアナログならではのもので、検索やリマインダー機能があるのはデジタルの利点。スマホを使いこなす人をターゲットに手帳とデジタルの融合を提案していきたいですね」

 2年前からエバーノートとのコラボを開始。スケジュールはスマホで管理し、写真や動画はアプリで整理しつつ、ひらめきやアイデアはすぐに手帳に書きつける、というやり方だ。

「デジとアナの合わせ技をするときにこそ、シンプルで瞬時に書けるモレスキンの本領が発揮されます。よく『デキる人はモレスキンを使っている』などと言われますが、仕事とは別の時間、自分が好きなことを大切にしている人は結果的に発想も広がり、仕事にもいい影響を与えるのでは」(前出の中牟田さん)

AERA 2014年12月15日号より抜粋