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「がんばった雰囲気」だけ残す? 日本のウイルス対策

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電子顕微鏡でみたエボラウイルス。フレデリック・マーフィー博士撮影。米疾病対策センター(CDC)提供

電子顕微鏡でみたエボラウイルス。フレデリック・マーフィー博士撮影。米疾病対策センター(CDC)提供

 デング熱やエボラ出血熱。次々に現れる新たなウイルスにどう向き合えばいいのか。神戸大学の岩田健太郎教授(感染症治療学)に聞いた。

*  *  *
 日本の感染症対策の課題として強調しておきたいことは、現実的な目標がはっきりしていないことだ。

 デング熱対策として、公園で殺虫剤がまかれたが、何のためにやっているのか、具体的な目標は示されなかった。本来ならば、「デング熱ウイルス撲滅」「許容できる感染者は何人」といった明快な目標が必要だ。

 私は、明快な目標を立てると、達成できなかったときに問題となり、責任を問われるから、目標を立てないのだとにらんでいる。現状は目標がないから評価もできない。一生懸命やった、よくがんばったねという気分、雰囲気だけを残して終わる。

 2009年に新型インフルエンザが流行したとき、厚生労働省は積極的に患者隔離や強力な検疫活動をした。比較的、軽いインフルエンザに対して強い態度でのぞみ、やりすぎだと批判されて対応を緩和した。厚労省は、感染拡大のタイミングを可能な限り遅らせることができたと総括したが、対策を立てなかったらどうなっていたかという科学的な検証はなかった。

 いつもそうだが、死亡者を何人に抑えるといった具体的な目標を立てないで、対策会議を開いて行動計画や病院マニュアルなどを作る。マニュアルは、目標を達成するための手段なのに、それを作ること自体が目標になってしまいがちだ。結局、感染症を減らせたのか、評価はない。マスコミが騒ぐから、会議を開いて対策を立てたふりをしているように見える。

AERA 2014年10月27日号より抜粋


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