高橋大輔 4回転ジャンプに挑戦し続けた背景 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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高橋大輔 4回転ジャンプに挑戦し続けた背景

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チーム高橋の13番目のメンバーはファンだという。高橋が本番に強い理由は、会場から力をもらって「魔法がかけられたような状態」(自著『それでも前を向くために』から)になるからだ(撮影/写真部・時津剛)

チーム高橋の13番目のメンバーはファンだという。高橋が本番に強い理由は、会場から力をもらって「魔法がかけられたような状態」(自著『それでも前を向くために』から)になるからだ(撮影/写真部・時津剛)

 日本の男子フィギュアスケートを世界レベルへと引き上げた、高橋大輔。パフォーマンスの巧みさに加え、彼だけが持つ華やかさ、叙情のこまやかさに加えて、10代の頃から一度も4回転ジャンプをプログラムから外したことのないアスリート魂。ここぞというときに大技を決めて勝利をもぎ取る集中力や、勝負勘の強さまであわせ持つ、フィギュア選手の一つの「完成形」だ。

 だが、この完成されたスケーターは決して一人の力で作り上げられたものではない。

「チーム高橋」。本人のほか、中2から指導するコーチの長光歌子(62)やジャンプコーチの本田武史(32)、トレーナー、アドバイザー、テクニカル、栄養アドバイザー、衣装担当、音楽担当、振付師、マネジメントなど今季は12人で構成される。そのメンバー以外にも、膝の専門医や靴職人がいる。

 2007年から「テクニカル」を担当する岡崎真(37)も、高橋にアーティストとしての能力を発揮してもらうため、自らの意識を変えたという。

 テクニカルは、振付師が構成したプログラムを見て、スピンやステップなど個々の要素がしっかりと点数を得られるものかチェックする。岡崎は国内に数人しかいない国際スケート連盟テクニカルスペシャリストの資格も持っており、頻繁に変更されるルールを読み解き、確実に得点できる技の提案もする。

「以前は、より高いレベルを取るために苦労も強いたけど、今は彼に心のままに表現してもらいたいから、まずストレスを感じさせないことを心がけ、その上でレベルを下げない内容を考え抜くようになりました」

 ソチ五輪代表選考会を兼ねた昨年12月の全日本選手権。高橋は約3週間前に右すねを負傷し、万全な状態ではなかった。試合当日、福岡にいた岡崎に、高橋サイドから電話が入った。
「4回転ジャンプにするか、3回転-3回転で回避するほうがいいのか」

「3-3ではミスは絶対に許されない。今の精神状態でそのプレッシャーに勝てるのか。着地に失敗しても4回転に挑む方が結果的に点数が高いだろう」

 岡崎はそう助言した。数時間後、高橋は4回転を跳んだ。回転不足で両足着氷となったが、フリーでも2度挑戦した。

AERA  2014年2月17日号より抜粋


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