晴海にあるマンション「ザ・パークハウス 晴海タワーズクロノレジデンス」43階からの眺め。オリンピック開催時には、右奥に、自転車競技の会場予定地が望める(撮影/今村拓馬)
晴海にあるマンション「ザ・パークハウス 晴海タワーズクロノレジデンス」43階からの眺め。オリンピック開催時には、右奥に、自転車競技の会場予定地が望める(撮影/今村拓馬)

 9月8日、2020年に東京でオリンピックが開催されることが決まった直後から、競技場が集中する湾岸エリアではマンションの購入希望者が殺到している。湾岸エリアにマンションを持つ三菱地所への問い合わせの電話は鳴りやまず「殺到していて電話件数を集計できていない状況」(同社広報)だ。

 オリンピックで注目されるエリアは湾岸エリアだけだろうか。1964年の東京オリンピック当時の熱気を覚えている住宅評論家の櫻井幸雄さんは、こう分析する。

「今回、一番の注目は湾岸エリアで間違いないでしょう。前回は、表参道、原宿あたりの整備が進みましたが、それに匹敵するのが品川駅周辺でしょう。品川駅はリニア中央新幹線の始点で、品川と田町近くにできるといわれる山手線の新駅周辺は、オリンピックを見越した街になると思われます」(櫻井さん)

 住宅コンサルタントとして多くのセミナーを開催している野中清志さんも湾岸と品川に注目している。この二つの地域は、野中さんが資産価値の上がるエリアのポイントとして挙げる。(1)空に近い(空港近く)、(2)海に近い(湾岸)、(3)陸のアクセスの良さ(地下鉄、JRの便利さ)の3条件に当てはまっているのだ。

「羽田空港がハブ空港化すると外資系企業や優秀な海外の人材が東京にやってくるでしょう。そんな人たちは、海外と日本を行ったり来たりするために空港の近くに住む傾向があります。ビジネスに便利で空港に近いとなると品川周辺。新駅誕生ももちろん、魅力的です。湾岸では豊洲に注目です」(野中さん)

 また、これまでのオリンピック時の宿泊事情を考えると、ホテルが確保できなくなった報道機関や大会関係者が近くのマンションの一室を貸してほしいと言ってくる傾向があるという。

「数人で3LDKの部屋を借りると、キッチンも風呂もあり、長期滞在にぴったり。こんなときの相場は高く、1カ月あたり200万~300万円にもなると聞いています。2カ月間、600万円で貸してハワイや札幌などの避暑地に行ったらどうでしょう。家財道具をトランクルームに入れたりしても500万円のお小遣いになります」(櫻井さん)

 すでにホテルはオリンピック開催時の予約が入り始めているという。あながち、夢物語とも言い切れない。

AERA  2013年9月30日号