自転車が絡む事故は2012年中に全国で約13万2千件発生。15歳以下の子どもが第1当事者になったのは約4800件、16~19歳は約3500件にのぼった(撮影/鈴木愛子)
自転車が絡む事故は2012年中に全国で約13万2千件発生。15歳以下の子どもが第1当事者になったのは約4800件、16~19歳は約3500件にのぼった(撮影/鈴木愛子)

 子どものケガや事故に気をつける親は多いが、時にその子どもが加害者となることもある。

 都内のある小学校のPTA関係者の間では、子どもの自転車事故で9500万円の支払い命令が出た(現在、控訴中)というニュースが流れて以降、親同士が顔を合わせる度に子どもが起こす事故が話題にのぼる。

 今月、神戸地裁で判決が出た事故は2008年9月22日夜、神戸市内で起きた。マウンテンバイクに乗った当時小学5年生の男の子が時速20~30キロの速さで坂道を下っていたところ、知人の散歩に付き添って歩いていた女性をはねた。女性は頭蓋骨を骨折し、現在も意識不明の状態が続いているという。

 小学生でも、自転車事故で加害者になってしまえば高額の賠償が求められることを知らしめた判決だが、どうしてここまでの額になったのか。『トラブルから子供を守る法律マニュアル』などを監修する弁護士の梅原ゆかりさんは、被害者に後遺障害が残った場合などには、賠償額が跳ね上がることが多いと指摘する。

「どんな被害を被ったかを積み上げて算定するため、介護や通院に必要な治療費、交通費などで高額になります。民法上、12歳ぐらいまでは責任無能力とされ、未就学児と小学生の行為は親の責任になる確率が非常に高い。子どもが学校にいる間も例外ではなく、親が何度も注意したと主張しても、監督責任を果たしていないという理由で簡単に排斥された例がある」

 加害者の年齢や、故意か過失かで賠償額が大きく変わることはないというが、子どもが加害者になった事故とその賠償金の事例を見てみると、同じ自転車事故でも、スピードが速すぎる、無灯火、携帯電話の操作中、信号無視など一般的に「ルール違反」とされるような行為を指摘され、賠償額が数千万円に上っているケースもある。

AERA 2013年7月29日号