今、丸の内などで働くいかにもモテそうな男性に向けた、一味違った恋愛セミナーが注目されている。人気の理由は、恋愛セミナーらしくないところにあるようだ。

 まるでビジネスセミナーだった。講師の理学博士はマーケティングの理論をひもとくように、モテの仕組みを「分析」した。

「縦軸が、僕が何人からアプローチされたかという『モテ度』。横軸が年齢です。時期によってモテ度はバラバラですね」
「イケメンだから、優しいから、スポーツマンだからモテるのではない。ある時、ある場所で、ある因子を出すことでモテ度は決まるのです」

「世界一わかる恋愛マーケティング」と題し、東京・丸の内で開かれた無料セミナー。平日の仕事帰りの時間帯というのに、約50人収容のセミナールームでは男性たちが熱心にメモを取っていた。

 講師は金融系企業やコンサルタントを経て、結婚相談所オーネットのマーケティングなどに関わった西口敦さん。電通で消費者心理の分析を専門とする四元正弘さん。恋愛に関する著書も多い理学博士のぐっどうぃる博士。カップルコンサルタントの西郷理恵子さん。いずれも豊富なデータや分析資料をもとにした理論的な“指南”がウリだ。主催したNHN Japanマッチングサービス事業部エグゼクティブアドバイザー、小久保知洋さんは、「男性は理屈っぽい。『モテ』をうたえば拒絶反応を起こす人も多いのですが、マーケティングの理論で納得すれば、具体的に行動に移すことができる」と話す。

 今回のセミナーでは丸の内近辺で働く一般男性を対象にした。マッチングサービス事業部長、津元啓史さんは言う。

「仕事はバリバリしてきたけれど、恋愛はマジメに考えてこなかったという男性がターゲット。丸の内を選んだのは、そんなプロフェッショナルたちが集まる場所だからです」

 実際、恋愛や結婚を億劫に感じる未婚男性の数が、近年膨れ上がっている。2011年に発
表された国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、18~34歳の未婚者で、彼女のいない男性は61.4%と過去最高に。うち「異性との交際を望んでいない人」は27.6%にものぼった。

「ビジネスで培ったコミュニケーションスキルを恋愛に応用させて、自分という『商品価値』をどうアピールするか。知識と戦略を学べば、男性ビジネスマンが恋愛、結婚市場を活性化させてくれるはずです」(小久保さん)

AERA 2012年9月24日号