言ってみれば、ふらりと公園を訪れるように、日常的に誰もが気軽に来られる、明るく開かれた場所なのである。
さらに、にぎやかなだけではなく、不安なときや誰かと相談したいときにも訪れたくなる、静かでゆったり過ごせる場所にしたいとも強調しているようだ。
私はこれまでにも、インクルーシブという言葉は何度か目にしたことがあり、その意味もわかっているつもりでいた。だが、インクルーシブを具現化した施設を実際に見たのは初めてであった。
いろんな障害のある子どもたちも自由にのびのびと遊び、あるいは学べる場。まさに見事にインクルーシブが具現化されていて、私は心底感動した。いつまでもこの場にいたいという気持ちが強く芽生え、去るのがつらかったほどである。
その後、私は山形市長の佐藤孝弘氏と会って、いろいろ尋ねた。佐藤市長は47歳の若さで、しかも2期8年目だという。どうすれば25万人の山形市民が前向きで張りのある生活を送れるのか。それを実現するために奮闘し、それこそ張りのある毎日を送る佐藤市長の話は、私までいや応なく前向きにし、気持ちに張りを持たせてくれた。ともかく、とても印象的な一日であったのである。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2023年5月26日号