若者世代とシニア世代の世代間対立が顕著になっている日本。マクロ経済学を専門に研究する駒澤大学の井上智洋准教授は“価値観の変更”が必要だと説明する。

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 日本経済の停滞は高齢者に支払う年金のせいだという主張もありますが、少子高齢化が進んでいる他の国で経済停滞をしているかといえばそうではない。停滞の原因は20年近く続いたデフレ不況であり、賃金が伸びないどころか減っていたという状況なんです。1989(平成元)年と2018(平成30)年の賃金を比べると、名目ではほとんど変わりなく、実質では18年のほうが下がっています。日本の場合、格差はあるにしても日本全体が貧しくなっていて、相対的に日本のプレゼンスが下がっている。庶民の暮らしは豊かになっていません。

 しかし私は今後日本の一人あたりGDPはプラスになると考えています。現役世代の割合が減少したら一人あたりの所得は減少すると考えてしまいますが、AIやロボットを使って労働生産性が伸びていくのでそうはならないでしょう。少ない人数で多くの人を養えるようになります。むしろAIの進歩が予測より速いので30年くらいには著しい雇用の減少がおこり、現役世代でも仕事に就けない人が増えるでしょう。

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