環境緑花工業の植物工場(同社提供)
環境緑花工業の植物工場(同社提供)

「地方の会社が高い給与で人を雇うのは難しい。副業ならプロに関わってもらえるのではと考えた」と山谷さんは言う。

 副業を募集した人数は1人だったが、3日間で44人の応募があった。うち半数が青森県出身者。山谷さんは「苦楽を共にしてくれそうな人」に決めた。副業で人材を受け入れて2年ほどになる。「いまはマーケティングに限らず、さまざまな経営課題にアドバイスしてもらい、一緒になってやってもらっている」と話す。

 現在、同社に副業で関わる人は4人。分野はマーケティング、採用、財務、作業の安全と違うが、それぞれの目線で経営課題を一緒に解決してほしいと期待している。

 同社で副業として働いている関東在住の40代の男性のBさんは、10件ほどの副業で生計を立て、仕事先は北海道から福岡までさまざま、全国を飛び回る。Bさんは副業の仕事をこう説明する。

「中小企業では新規事業を社長が担当することが多く、そのパートナーとして社長と一緒に仕事をする。お金を引っぱってくる折衝や、補助金の申請書を書いて遂行するほか、困りごとは何でも解決する」

 Bさんによると、地方の副業は、中小企業にないものを提供する仕事。普段はオンラインや電話でもできるが、「基本的にオンラインで完結しない。商品開発は現物を見ないといけない。現地で従業員と話し、一緒に汗を流さないといけない」と話す。数カ月で完結せず、長期になることも。

 山谷さんは副業について、業務委託契約で期限を決めるが、期限をそのまま延長していると話す。会社が「ずっと挑戦し続けていれば、その人材は必要とされる」と話す。

 一方、山谷さんは、コンサルタントを雇えば一般的なアドバイスを得られるが、聞いているだけで問題が解決したような錯覚に陥るという。しかし、「現実はそれを理解し実行してくれる人材がいない」と指摘する。一緒に汗をかき、働いてくれる人が必要という。

 山谷さんは「実家に帰省するついでに会社に来てくれるとか、1カ月に1回とか、そんなコミットでいい。地方の現実を見てアドバイスができるかどうか」とみる。

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