そして、男女ともに多いのは、突然尿意を催し、我慢しきれずに尿を漏らしてしまう「切迫性尿失禁」。加齢のほか、動脈硬化などのいわゆるメタボリックシンドロームが主な原因だ。膀胱への血流が悪くなることでその機能が悪化。勝手に収縮したり、排尿の必要があるほど尿がたまっていないのにたまったと勘違いしたりして、尿意を覚えてしまう。

「こうした膀胱の症状を過活動膀胱と言います。全国に1千万人の患者がいると言われていて、前立腺肥大症も過活動膀胱を誘発します。誰もが加齢とともに陥る可能性があるので注意が必要です」

 対策法として実践したいのが、尿道を締める働きをする骨盤底筋を鍛える体操。男女ともに有効だ。実践してみてほしい。排泄障害の予防や治療及び適切なケアマネジメントを推進する日本コンチネンス協会理事の近石昌子さんに聞いた。

「尿道や肛門に意識を集中して、正しく締めます。息を吐きながら肛門や尿道を体の中に引き込むイメージです。わからない場合は、入浴時に肛門に指を当ててみて、締めたときに吸いつくような感触があれば正しく締まっています。器具も不要ですし、移動中でも入浴中でも、いつでもどこでもできます」

■締めたときに吸いつく感触

 男性なら、「陰嚢が持ち上がる」「尿を切る」イメージだ。近石さんによれば、以下の方法を朝昼晩それぞれ行うのがいい。

(1)早く締める運動を10回
(2)締めたら3秒数える

 息を止めず、腹筋に力を入れないようにするのも注意点。回数よりも正しく締めることが大切だ。

 また、生活習慣の見直し、膀胱訓練も心がけたいと小島教授は話す。

「利尿作用のあるアルコールやコーヒーは控え、喫煙者ならば禁煙、肥満気味であれば減量したほうがいいでしょう。膀胱訓練は尿を我慢してみることです。外出先だと漏れる可能性から難しいので、在宅時だけでもいい。また、決まった時間に排尿する習慣を試みるのも効果的です」

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