由紀さおりが語る昭和歌謡の魅力「最近の音楽は余韻がない」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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由紀さおりが語る昭和歌謡の魅力「最近の音楽は余韻がない」

菊地陽子週刊朝日
由紀さおり [撮影/写真部・戸嶋日菜乃、ヘアメイク/徳田郁子]

由紀さおり [撮影/写真部・戸嶋日菜乃、ヘアメイク/徳田郁子]

映画「ブルーへブンを君に」は、11日からイオンシネマ板橋ほか全国公開(c)2020「ブルーヘブンを君に」製作委員会

映画「ブルーへブンを君に」は、11日からイオンシネマ板橋ほか全国公開(c)2020「ブルーヘブンを君に」製作委員会

 歌手として活躍する一方、女優として映画、ドラマにも出演する由紀さおりさん。映画「ブルーヘブンを君に」では初主演を務めるが、50年を超える芸能生活を振り返った。

前編/映画初主演の由紀さおりが振り返る挫折「不幸でないことを憂えた」】より続く

【映画「ブルーヘブンを君に」の場面写真はこちら】

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 歌で生きていくことを諦めかけて、短大に進学した。すると卒業と同時に、「夜明けのスキャット」という、発売から50年以上も歌い継がれる名曲に出会う。由紀さんは、売れなかったときも、由紀さおりとしてスターになってからも、人気者になりたいと思ったことは一度もなかった。常に、自分の元にある音楽をどう捉えるか、日本語の歌詞にどう心を込めるかが最重要課題だった。

「母も、私たちを普通に育てることにこだわっていました。家に帰れば姉と私とで、代わりばんこに夕飯の支度をしていましたし。普通の女の子がやらなければいけないことは全てやらされました。だから歌を歌っていても、自分が特別な感じというのはまったくなくて……。むしろ、私の振る舞いや言葉遣いに関して、母親から注意されることのほうがしょっちゅうでした。だから、姉も私も、ずっと普通です(笑)」

 今、世界は大量生産、大量消費の時代から、“SDGs”(持続可能な開発目標)を掲げ、エコな暮らしを意識することが美徳という方向に変わりつつある。由紀さんの話を聞いて、その自然体の生き方にサステイナブル(人間・社会・地球環境の持続可能な発展)なエッセンスを感じたので、「環境や状況が激変する中、自分らしさを持続している生き方が素敵です」と伝えると、「私がサステイナブルということに関して一番真剣に考えているのは、音楽ね」という言葉が返ってきた。

「持続可能な音楽ってどういうものがあるんだろうって今すごく考えます。私たちの歌ってきた歌は、昭和歌謡と呼ばれています。若い方たちの歌も聴きますし、みなさん素敵ですけれど、今、ヒットチャートを賑わしているミュージシャンと私たちのような歌手は大きく違う。その違いは、歌うときの余韻にあるんじゃないかしら。もともと、昭和歌謡は、日本語の語感や余韻にこだわっている音楽です。最近は、みんなパソコンで音楽を作っているので、音に余韻がなくて、ブツッて切れますよね。若い人たちにとってみれば、それが新しいのかもしれないけれど。私は、余韻の波がある音楽を、後世に残していきたいの。次の世代にそれを手渡していくにはどうしたらいいか。それが私の歌を歌っていく上での、一番重要なポイントかもしれません」

 由紀さんは、20代で結婚、そして離婚を経験している。また50代になってからも、アメリカ在住の日本人男性とアメリカで挙式したが、ほどなくして離婚を決断した。その二つの大恋愛について、「芸事と結婚生活、どちらかを選ばなければいけない状況を突きつけられて、添い遂げることを選ばずにここまでやってきた」と振り返る。


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